「カタログギフトの秘密」『Big tomorrow』連載第38回(2011年9月号)

 もらった人が“自分で選ぶ楽しさがある”ため、実物のモノを贈るよりも喜ばれるのがカタログギフト。いまやハウスクリーニングから人間ドッグまで、なんでも載ってるけど、果たしてどのくらい儲かるの?


商品の仕入れから原価、発送まで、カタログギフトの仕組みの謎に迫る!
 結婚式の引き出物といえば、その昔は砂糖やナベ、タオルケットといったモノが定番。
 が、いまはカタログギフトが主流。贈り主が商品を決めるのではなく、もらい手がほしいモノを選べるのが人気の秘密です。
ただ、8000円のコースのカタログでも、デパートに行けば5000円くらいで買えそうなモノが載ってたり…。「カタログに載ってる商品って、ホントはもっと安いんじゃないの?」という気もします。
 割高感があるのに、なぜ贈り主はわざわざカタログギフトにするのでしょうか?
「引き出物に限らず、お中元やお歳暮でも、ほしくないモノだったり好みに合わないモノだったりすると『こんなモノもらってもな…』と思うことがある。その点、カタログギフトなら、『センスが悪い』と思われるリスクを回避できます。贈り手は、そうした付加価値にお金を払っているんですよ」
 と語るのは小川孔輔先生。
 
カタログギフト会社ならではの必要経費とは?
 ではここで、1万円のカタログの内訳をシミュレーションしてみましょう。
「ギフト商品の仕入原価は、6000~7000円程度。カタログギフト会社はギフト専門問屋から発展したケースが多く、メーカーとのパイプが太いため、一般の小売店よりはかなり安く仕入れられます」
 一般的に、長期保管が難しい生鮮食品は、廃棄ロスが発生するリスクがあるので仕入れ原価は低め。一方、鞄や財布などの小物は在庫リスクが小さいため、仕入れ原価が高めです。
 また、商品を送る物流コストは1000円弱。その他にかかる費用は営業費とカタログ製作費。
「カタログギフト会社は自社でカタログを直販するだけでなく、百貨店や結婚式場、葬儀屋などにカタログを販売してもらっています。こうした販売チャネルを確保できるかどうかが、カタログギフト会社の売り上げを左右します。そのため、そうしたチャネル確保の営業費がけっこうかかります。それに加え、商品を美しく見せるカタログ作りにもかなりの経費が必要。それらを差し引くと、粗利益率は10~20%という計算ですね」

エステや人間ドッグも登場 体験型ギフトがいま人気!
 ギフト市場は17兆円ともいわれる巨大市場。ただ、必ずしも見通しは明るくないとか。
「安定的な売り上げがあった法人ギフト需要が縮小して、現在は個人ギフトに頼らざるをえない状況。これからは個人の多様なニーズにどう応えていくかが、生き残りのカギになります。カタログギフト会社も危機感を持っていて、最近はエステや人間ドッグなど、従来の枠を飛び越えた体験型ギフトにチャレンジしています」
 ちなみに人気の体験型ギフトは右表の通り。こんなギフトなら喜ばれるかも!?

体験型ギフトの例
ジャズギター体験 ソウ・エクスペリエンス体験ギフト「For2カタログGreen」10500円
お手軽ゴルフ体験 http://www.sowxp.co.jp/
ハウスクリーニング Recollections「nero」50000円
肥満遺伝子検査プラン http://www.recollections.jp/
モノ以外に、“体験”を贈るカタログギフトが人気。「自分からは進んでやらないが、人からもらったらやってみたい」というニーズが多い。