「モンドセレクション金賞受賞だから、おいしいはず!」「宮内庁御用達ってことは、いいモノに違いない!」…。お墨付きがあると、商品がよりいっそう魅力的に見えるから不思議。でも、そうした認定マークって、いったいどれくらい売り上げに結びつくの?
認定マークのついた商品例からその取得費用、販促効果まで探ってみた!
身の周りを見わたすと“モンドセレクション賞”マークがついている商品がけっこうある。商品の目立つところにマークをつけるのは、メーカーがそのスゴさをアピールしたいから?
「もちろんアピールもありますが、各種認証マークには売り上げを伸ばす効果があるんです」
と解説するのは、小川孔輔先生。
「サントリーの『ザ・プレミアムモルツ』は、モンドセレクションで最高金賞を受賞したとたんに爆発的に売れ始め、翌月には生産が追いつかず販売を一時中止しました。これは極端な例ですが、同様の効果があると考えられているからこそ、企業はこぞって認証マークを取るのです」
お墨付きマークをつければ1本10円以上高く売れる!
お墨付きマークには、売り上げだけでなく価格を上げる効果も。
「モンドセレクションで最高金賞を受賞した某ミネラルウォーターは、1本130円(500ml)で、国内大手メーカー商品の希望小売価格120円を上回っています。認知度が低いのに高い値段で販売できるのは、最高金賞受賞という実績がブランド力の弱さを補ってくれるから。別のいい方をすれば、モンドセレクションには1本10円以上のブランド価値があるということです」
売り上げや単価に大きな影響を与えるお墨付きマークですが、その費用や効果はマークによって違います。
食品分野でよく見かけるモンドセレクション賞は、ベルギー政府の認可機関が開催するコンテスト。審査料は一製品につき1100ユーロ(1ユーロ=110円とすると12万1000円)。品質や味覚など、各項目の点数によって最高金賞、金賞、銀賞、銅賞の4段階の賞が与えられます。賞ラベルは5年間使用できます。
工業製品では、財団法人日本産業デザイン振興会が主催するグッドデザイン賞が有名です。家電やクルマ、工業製品、住宅、建築物などの「よいデザイン」に与えられるもので、審査料は1次審査1件1万円、2次審査5万円。受賞を示すGマークの使用料として、さらに年間20~100万円がかかります。
「どちらもコストはそれなりにかかりますが、グッドデザイン賞の応募が3136件(2010年度)に達したことからもわかるように、人気はバツグン。企業から見ると、費用以上のPR効果が期待できるのでしょう」
“宮内庁御用達”表示は、じつは業者の自主判断!?
また、究極のお墨付きといえば“宮内庁御用達”。じつは、宮内庁が業者に公式に認可を与えていたのは1954年まで。それ以降は、宮内庁御用達という認証制度は存在せず、献上や納入実績の公表は業者の自主的な判断に委ねられているといいます。
「狙って名乗れるものではないだけに、希少価値は高い。ただ、品位を考えると派手な宣伝はできません」
いずれにしても、お墨付きの有無によってお客様の購買心理をくすぐれることは確か。自社商品のブランド戦略に合わせて、うまく活用したいものです。