箱根駅伝2013年: 法政大学、驚愕の5位で往路を終える(”忍者走り”の関口君)

 2013年冬に、法政大学は2年ぶりに箱根を走ることができた。オリンピック競技のように、わたしとしては、駅伝レースへの参加に意義を見出していた。それなのにである。なんと!ノーマークの往路5区、山登りの厳しい区間で、関口頌悟選手(高崎高)が8人抜きを達成した。

 昨年までの東洋大学・山の神、柏原選手のように、予想されたような展開ではない。テレビ画面を見ていて、ほんとうにびっくりした。第一区の3位(西池君)は想定内である。
 ふつうならば、法政大学の実力からして(予選会8位)、そのあとで3区~4区間はじり貧になるはずだった。ところが、今大会は予想とは違っていた。1万メートルの記録からして、関口君の大躍進はありそうになかった。
 成田監督の5区への起用は、大ヒットだった。彼の走り方を知っていたのだろう。強風の中で、上り坂がきつい場面。地を這うような彼のピッチ走法は、絶対的に有利である。卒業生OB女子の誰かが、「けっこうイケメンさん、かわいい”と歓喜していた。ちゃんとテレビ画面の走りを見ろ!

 もしかして、とは思ったのだが。友人の曾村駅伝部長(GIS学部長)からは、彼に関してはなんの情報もなかった。「1区だけは期待できるかも」(曾村さん)。しかし、箱根の坂の登りっぷりは、本当に驚愕だった。ぐいぐい走って、どんどん先行している走者をごぼう抜きしていく。
 法政の駅伝関係者にとっては、うれしい誤算だったのだろうか? それとも、もともと力のある選手だったのだろうか?
 箱根駅伝は、関東の大学を卒業したOB、OGにとっては、正月の楽しみのひとつである。母校がここに出てくるのか、それとも予選落ちするのかで、正月の充実度が大いに変わってくる。
 わたしは、この二年間、ほんとうにさみしい思いをして正月を過ごしていた。それが、この往路の大健闘である。長距離は、走ってみないとわからないところがある。

 明日は復路の戦いになる。一度だけ、法政は復路の優勝経験がある。明日は、気合を入れて頑張ってほしい。大きな波がこちらに来ている。わたしも、明日からは心を入れ替えて、練習を頑張ろうと思う。
 関口くんの忍者走りは、法政大学関係者に勇気を与えてくれただろう。
 ほんとうに、ありがとう! 箱根のチームメンバーは、明日も頑張ろうね。よろしくお願いします。

 なお、関口君の走りは、理にかなっている。
 むかしから、消耗がすくない効率的な走り方として、ランナー仲間に知られている走法なのだ(フラット走法とも言う)。わたしもかつて実践していたことがある。フルマラソンで最高タイムを出したとき(つくばマラソン、渡良瀬遊水地マラソン)は、この走法(忍者走り)に近い走り方をしていた。
 ただ一つの難点は、内股の筋肉が疲労でついてこれないことだ。スタミナタイプのランナーでないと、筋肉疲労を起こすのだ。しかし、関口君の活躍で、この走法は素人ランナーの間で復活しそうだ(笑い)。
 とくに、忍者走りは、高齢者と女性ランナーに向いているように思う。わたしも、明日から、むかしの走法に戻してみよう。ただし、同時に練習量も増やさないとね。

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 「法大・関口「忍者走り」で順位上げる/箱根駅伝」

 往路5位でフィニッシュした法大・関口=箱根町・芦ノ湖(撮影・桐山弘太)【拡大】
 
 第89回東京箱根間往復大学駅伝・往路(2日、東京・大手町-神奈川・箱根町芦ノ湖駐車場=5区間108・0キロ)3年ぶり出場の法大の成田監督は「出来過ぎ」と往路5位に笑いが止まらなかった。
 5区で関口が区間2位と好走し、13位から順位10+ 件を押し上げた。福田赳夫、中曽根康弘両元首相を輩出した群馬・高崎高出身。レース前は「シェークスピアの本を読んでいた」という異色のランナーだ。
 地面をするように足を運ぶ変則的な走法を本人は「忍者走り」と表現する。「上体がぶれないフォームは自分のこだわり。思った以上の結果を出せた」と喜びに浸った。(共同)