潔癖度テスト(山形行きのバスの中から)

東大の大学院生だったころ、2級下に大塚英作くんという後輩がいた。のちに、アメリカに留学してドクターの学位を取得、横浜国立大学で「意思決定論」を講じていた。一昨年、若くしてガンで亡くなった。50歳に届いていなかったように思う。


同じころに、カリフォルニア大学バークレイ校に留学していたので、わたしも彼にはとても世話になった。もともと、彼はあまり体が丈夫ではなかった。がんを患っていることは知っていた。発病からは10年を経過していたはずである。
 優しくも厳しい性格だった大塚くんは、妙に神経質なところがあった。電車の吊り革には絶対につかまらなかった。一緒のトイレに行くときは、手を洗う段になると、いつもかならずポケットからハンカチをとり出して、口に加えていた。直接触りたくないので、蛇口をハンカチで包むためである。世の中は、たしかにばい菌に満ち溢れている。そうは思うが、なにもそこまでしなくとも、、、そんな彼が、わたしより先に逝くとは、不思議なものである。

 わたしの潔癖度合いは、彼とはまったく逆である。汚い話だが、トイレのあとに手洗いを忘れてしまうこともある。ぼけ老人の世界に入境しつつある。あまりひとに離す話ではなかもしれない。
 さて、みなさんは、わたしと大塚くんのどちらの近くにいるだろうか? 潔癖度をチェックするテストを考えてみた。わたしは、もちろん零点だろうな、、、(笑)。

1、電車の吊り革はばい菌だらけ。気持ちが悪いので、つかまらない。つかまるとしても、ハンカチを持ち出す。
2、トイレから出るときは、ロールペーパーの先を三角折にして出ないと気が済まない。そもそも他人が座った便座には腰掛けたくない。洋式ではなく、できるだけ和式を選択する。
3、病院や公共の場にあるスリッパははきたくない。汚れているのは、分かっているときは自分でスリッパを持参する。
4、食堂やレストランで食べるとき、みなと共用のお箸は使いたくない。いつもマイステックを持ち歩いている。
5、CDショップの視聴機のヘッドフォンは使わない。他人の汗や脂がねっとりついているみたいで、気持ちが悪い。
6、インフルエンザの感染が怖いので、外出するときにはマスクをして歩いている。隣で咳をする人がいると、あからさまに避けて通るようにしている。
7、二日間続けて、同じワイシャツを着ることはしない。自分の着たものであっても、なんとなく気持ちが悪い。
8、公衆浴場やプールは、誰が入っているかはわからないので、できれば入りたくない。浴場のイスに腰掛けるときは、思いっきり熱いお湯を掛けてからにする。
9、待ち合わせの時間には、かならず間に合わせるようにしている。相手が10分以上遅れたら、待たずに帰ることもある。
10、原稿の締切りは、いつでも忠実に守る。納期を遅らすせることは、死ぬよりも辛い。

 何点でしたか?大塚くんは、10点満点でした。わたしは、1点でした。どこにチェックが入ったか、わかりますか?