上海市内の目抜き通り准海路(ワイハイルー)に、H&M(本社:スウェーデン)の中国一号店がオープンした。
4月12日のことである。偶然にも開店二日後の4月14日に、現地調査のため、復旦大学留学中の元大学院ゼミ生の本多君とハニーズ(本社:福島県いわき市)の上海事務所を訪問していた。
ハニーズ上海一号店の出店は、昨年4月25日である。進出からわずか一年で、百盛百貨店(マレーシア系)、太平洋百貨店(台湾系)、新世界百貨などにインショップで7箇所に出ている。
上海事務所駐在の加藤倫夫さんに、現地の出店事情(中国全土では4月末現在27店舗)を聞いたあと、百盛百貨店(パークソン)に出店しているハニーズの売り場(12坪)を見学することになった。開業10周年記念セール中のパークソンは、上海事務所からタクシーで10分のところにある。せっかくなので、別名「ブランド通り」とも呼ばれる准海路に、最近出店してきた欧州系衣料品チェーンの店舗を見学することにした。
H&Mの一号店は、開店3日目でまだ入場制限をしていた。地下鉄でチラシを大量に配布する開店プロモーション効果が効いたのか、店内はもちろんのこと、歩道まで買い物客でごった返していた。加藤さんによると、「(昨年)ハニーズが開店したときもこんな状態でしたよ」とのこと。海外の有名ブランドショップが開店すると、「どこからやって来るのか、とにかくたくさんの人が押し寄せてきますね。上海人は、新しい物好きです」。しかし、H&Mの来店客は、面白半分や冷やかしの客は少なかったように見えた。実際に、赤字(H&M)に黒基調の買い物バックを下げて、店内から出て行く人のほうが多かった。上海のカジュアル衣料品やハニーズなどと比べると、商品の価格はやや高めである。それにも関わらず、買い上げ率、客単価ともにかなり高いように思える(あまりの混雑で観察のみ、データ収集はできず)。
H&Mの隣には、デンマークの「ONLY」が路面店を展開していた。独特のデザインで、「色使いをプロモーションするのに長けている」(加藤さん)。通りに面した横長のレイアウトで、天井が高く、商品陳列もすっきりとしている。通りを挟んで向い側は、ジーンズショップのリーバイス(米国)。”Made-in-Japan”のヴィンテージ・ジーンズが二万円で売られていた。准海路には、ルイヴィトンやグッチなど、世界の有名ブランドショップも店を連ねている。また、梅鎮楼伊勢丹や太平洋百貨店(准海店)の中には、さまざまなショップが入店している。反日感情を言う割に、案外、日本勢は健闘している。それが証拠に、百貨店の一番良いところに、資生堂、コーセー、ソフィーナなどの化粧品コーナーがある。
予定より30分遅れて、百盛百貨店(准海路店)に到着した。もともと売り場が狭いとこにもってきて、開業記念のキャッシュバック・セール中であった。女性衣料品ブランドショップが並んでいる3Fは、売り場の通路を歩くことさえできない。たいへんな人の波である。最後におもしろいデータを紹介する。パークソン准海路店3階で営業している女性ファッションブランドの月間売上データである(2007年3月聞き取りによる、やや不正確)。生データはリアルすぎるので、ハニーズを100として指数化してある(他店比較で売り場面積が約半分のハニーズは大健闘!)。最後に本多君が、「小川先生。これって、ワールドカップの一次予選の結果みたいですね」(加藤さん、笑いながら)。
Honey’s(日本);100、Only(デンマーク):218、Vermode(デンマーク):238、E-land(韓国):83、ESPRIT(香港):176、E-tam(フランス);100、iiMK(日本):66。