自分のパーセプション: 小川先生=「分厚いマーケティングの教科書」という一次連想?

 名古屋大学で開催された「マーケティング・サイエンス学会(2012年春の全国大会)」の帰り道で、早稲田大学教授の豊田秀樹さんと同じ電車に乗り合わせた。ふたりとも、土曜日(23日)に早めに東京に戻る必要があったからである。



 当日は、わたしの大学院生の頼勝一君が研究発表した。そのコメントを豊田先生にお願いすることになった。昨年はわたしが豊田さんの発表についてコメントしたので、ある意味で「お返し」である。
 頼君のテーマは、自己志向と他者志向のベネフィットを測定するものだった。ただし、測定のために用いた調査内容が「東日本大震災のボランティア活動」(CSR的な内容)であったので、豊田先生は対象を意外に思われたらしい。
 頼君の発表が終わった時に、私たちのそばに寄ってきた豊田さんが、立ち話で、「(小川研究室の)リサーチ課題としては、わたしには意外だった」と印象を述べた。「どうしてですか?」というわたしの問いかけに対して、豊田さんは、「小川先生のイメージは、(日経から出ている)『マーケティング入門』なんですよ」だった。
 
 そうなのだ。 豊田先生のような統計畑の先生から見ると、わたしの専門分野(イメージ)は、マーケティングの「ど真ん中」なのだ。とくに、日経から800パージの厚い本を出してからその傾向が強いのかもしれない。
 わたしから補足として、数年前に『有機農産物の流通とマーケティング』(農文協)を出しているとか、花の協会(JFMA)を創業したり、農産物の環境認証会社(MPSジャパン)を創設したこと等を話した。反応から、豊田さんがとても驚かれたことがわかった。「(小川)先生のイメージが変わりました!」と言って、途中駅で地下鉄の電車を降りられた。
 「全部読み切るまでに、半年かかりました」(豊田先生)。それでも、こんなところに読者がいたことにもびっくりした。日本企業のマーケティング実践を表現したかったことは伝わっていた。

 自分では意識していないが、弟子たちの学会発表や書籍などから、自分の社会的なイメージが形成されていくのだ。今更ながらなのだが、”Publish or Perish”の意味と効果がよくわかった一日だった。
 継続的な出版と発表。この二つが大切だ。ランニングも仕事も同じことだ。日常の繰り返し作業と積み重ね。絶え間ないイノベーションの努力が必要だ。