予告通りに、しまむらが中国進出を果たした。3年前(2009年)に藤原相談役(当時、しまむら会長)に法政大学の大学院で講演をしていただいたときには、「中国進出は時期的に早い」という判断だった。法制度の違いやインフラの整備状況、ファッションに関連した気候条件の差などを挙げていた。
しかし、一昨年(2010年)に、野中社長をインタビューしたときには、なんとなくだが、中国進出を決断していそうな気配を感じた。そのときの取材内容は、拙著『しまむらとヤオコー』(小学館)に書かれている。注意深い読者は、そのときの雰囲気を文の行間から感じていただけるだろう。
野中社長は、当時、あいまいに、はぐらかすような話しぶりだった。なんとなくの気配を感じたのは、直感である。そう感じたのは、わたしの問いに対して「明らかな否定をしなかった」からである。
中国本土において、しまむらがどのように事業を展開するつもりなのかは、取材記事だけからでは不明である。店舗規模は、1000㎡(300坪)で日本の標準店と同じである。販売する衣料品は、基本的には輸入品を現地で販売することからはじめるらしい。
当初は、テスト的な出店だろうから、検証を積み重ねながらのチェーン展開になる。物流的にはすでに直流を採用しているので、中国の物流拠点から商品を店舗に配送することができる。
以下の記事には、日本のビジネスモデルをそのまま移植するように書いてあるが、わたしはそのようには思わない。藤原相談役が指摘していたように、法制度とファッション文化、産業のインフラが大きく異なっているからである。そして、日本のファッションブランドの受容性がかなり高い。
中国人のテイストは、明らかにH&Mやザラではない。
ビジネスの基本コンセプト(日常衣料品を中心に、雑貨などを低価格で品揃えする店舗)は同じではあっても、出店の仕方(SCの発展の仕方)や店舗デザイン(すでに日本のものとは異なっている)や売り場レイアウト、売れる商材などは違ってくるはずである。
想像ではあるが、中国のしまむら店内は、都心型店舗に近いのではないか。ハニーズやクロスカンパニーの中国本土での成功から類推するに、商品構成も、都心型店舗(高田馬場店、三軒茶屋店)に近いように考えられる。
現地のチラシ(店舗資料参照)を見る限り、日本的なカワイイが強調されている。このコンセプトでの成功確率は高いと判断できる。両社以上に、大ヒットの予感がする。
いずれにしても、近々、上海に行く用事があるので、事実を確認をしてくるつもりである。
もし、上海の谷くん(レッグス)や本多くんがこのブログを見ていたら、しまむらの実態を知らせてください!
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「しまむら中国進出1号店、上海にオープン」(2012年04月13日 23:00 JST)
(出所:http://www.fashionsnap.com/news/)
国内大手衣料品チェーンのしまむらが、4月13日に中国大陸進出第1号店となる「飾夢楽(しむら 英語表記は Shimala)」を、上海市内にオープンした。店舗は上海市長風景畔広場に位置し、店内規模は日本の標準規模と同じ約1000㎡。日本で展開する「ファッションセンター しまむら」と同様に、豊富な商品数と回転の早さ、低価格のアイテムを提供し、日本と中国の間で”時差なし”のファッションを提案する。中国国内において、2年間で10店舗のオープンを目標に拡大を図る。
しまむらが運営する「飾夢楽」は、売り場面積や商品の陳列まで、ほぼ日本と同様の形態で運営しているアジア地域の店舗ブランド。売価もほぼ同様の設定で、日本の先端ファッションを中国でも”時差なし”で展開。メインのウィメンズファッション以外にも、紳士服、子供服、インナー、アクセサリー、寝具、インテリアなど、幅広く揃える。
しまむらは、1997年に台湾市場に進出し、日本と同類の郊外型店舗で急速に拡大。2011年末で34店舗に成長した。本格的な中国展開に向けて、2011年に上海で飾夢楽(上海)商貿有限公司を設立。「他の日系ブランドよりも後発の出店となったが、市場の成長と共に低価格の強みを持つブランドの可能性は大きくなっている」と捉える同社は、「高いファッション性と豊富な品揃えで総合的な生活ライフスタイルを提案できる店舗はまだ少ないので、『飾夢楽』は強みになる」とし、積極的に中国展開を拡大する。
■「飾夢楽」オフィシャルウェブサイト
www.shimala.cn
(この下に、拙著のアマゾン広告: 「しまむらとヤオコー」の好調の秘訣がわかる)