もうひとつの春の物日(3月8日は、ミモザの日)

 フラワーバレンタインの活動を始める前に、JFMAとして取り組んできた物日がある。3月8日(国際婦人デー)に、イタリアでは春を告げる黄色い花(ミモザ)を女性に送る風習がある。7年前、華道家の大久保有加さんが提唱した企画であった。



 花業界は、全体として、春のもの日として、「バレンタイン奪回作戦」に転じてしまった感がある。ただし、小田急ランドフローラや青山フラワーマーケットは、その後も、ミモザの日の行事を続けている。地道ではあるが、確実に「ミモザの日」も世の中に浸透してきている。
 昨日、小田急の坂本哲夫社長に、「バレンタインのときに配った花束が、一ヶ月近く持ったおかげで、行く先々で感謝されています」と報告した。カーネーションとバラをミックスした小さなブーケを、バレンタインの日に、小田急の新宿本店から届けていただいた。
 あれから約1ヶ月、久しぶりに美容院にヘアカットにいったら、「きれいな上に、すっごく長くお花がもちました!」と感謝の言葉をいただいた。大学院生や研究室の女性たちからも、ひとりの例外もなく、小田急さんのお花に対して、感動の言葉とお礼をいただいている。このところ、ほぼ毎日である。
 うれしかったので、坂本社長にお礼の電話をした。その際に、「先生、もうひとつ、いい話があるのですよ」と、坂本社長から、ミモザの日の出来事を知らされた。以下は、坂本社長のお話である。

 3月8日のミモザの日に、小田急フローリストの新宿本店にひとりの男性が訪れた。応対した店員さんに、「小田急さんが先日、後援をなさった鈴木慶江(よしえ)さんのコンサートで、当日に配布したのと同じブーケを20束ください」と告げた。
 小田急フローリストは、グループの小田急百貨店や近くの京王百貨店などとも協力して、JFMAが特別なキャンペーンを行わなくなって以降も、「春告げの日の行事」(新宿駅周辺を黄色に染める!)を続けてきた。大久保さんが最初の年に企画した「ミモザの日のコンサート」を、その後も後援してきたのである。
 地道な努力が実って、このシーズンは、3月8日に確実にお客さんが、ミモザを購入してくれるようになっている。そのひとつが、この男性客の行動につながったものと思われる。
 「小川先生、やっぱり、あきらずにやり続けることが大事ですよね」(坂本社長)。

 フラワーバレンタインもミモザの日も、浸透していくには、かなりの時間がかかるだろう。プロモーションには準備と手間もかかる。それでも、確実に花を購入する男性客を増やしている。小田急さんや青フラさんが、気長に春告げの日に取り組んでいるのは、とても心強いことである。
 ミモザの日の成果を、小田急フローリストの宮西マネージャーからメールでいただいた。一部をカットして紹介したい。
 たぶん、坂本社長が宮西さんに、「小川先生に、現状をお伝えするように!」と命令を発したからに違いない。

 
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小川先生

お世話になっております。今年のミモザの販売状況にお伝えさせていただきます。
弊社ではJFMAでミモザの花送りを提唱されてから3/8の週はミモザのMDを全店で取り組んでおります。
①MD商品として商品センターから各店へミモザアレンジの投入。
②共通のスリーブを配布してミモザブーケを店舗で作成を行いました。
この時期お客様は春を待ち焦がれておかれますので春を印象つける黄色いお花は店頭を華やかに彩りますので集客の為にもスイートピー、チューリップ、ラナンなど黄色・オレンジ系の花を店頭に集めてミモザと一緒に春色ブーケなどを提案し好評を得ております。
フェアは毎年継続して取り組んできておりますのでミモザも周知されてきた印象を店舗でも得ているようで、3/8本店にご商売をされているお客様のようでしたが20束お客様にお渡しするというお話でまとめてご購入されたお客様がいらっしゃったと報告も入ってきております。
また、鈴木慶江様のミモザのコンサートwww.japanarts.co.jp/html/2012/vocal/suzuki/index.htm にミモザブーケを550束ご提供させて頂きました。
※仕入課として今年は寒い冬の為良品のミモザを仕入れる事が困難でした。

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 フラワーバレンタインと同様に、やはり、この時期は花(バラやミモザ)の供給が問題になる。新しい産地形成や、そろそろ輸入での調達などを視野に入れたいものである。
 物日は、あきらかに新しいビジネスチャンスを提供してくれる。年間を通して、そうした日を増やしていきたいものだ。