いまの時代、楽な道を選ぶことはリスクになる

 フジサンケイのインタビューで、元日本IBM社長の北城さんが、傾聴すべきアドバイスを若者に述べていた。「安定を志向すること=変わらないことがリスクになる」という意見は、若者だけでなく、企業経営全般にもあてはまる姿勢である。


来週、二つの講演を依頼されている。東京都内の秋葉原(インテージ)と埼玉県桶川市(市民ホール)である。対象は企業と市民であるが、わたしが伝えたいメッセージは、北城さんの主張そのものである。変わろうとしなければ、いずれは滅びることになる。そのことに気がついているだけでなく、実際に動けるかどうかが、20年後、30年後の生き様を決めるのである。
 北城最高顧問の談話を、一部分、ここで引用してみる。含蓄のある発言である。内向きの日本人や組織に警鐘を鳴らしている。

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「日本で働く若者へ 安定志向はむしろ「人生のリスク」」フジサンケイ ビジネスア
日本IBM最高顧問・北城恪太郎氏(談)

多くの大人は特別な事情のある人を除けば、20代から60代まで40年も働きます。その40年働く「仕事」が自分の能力を生かせて面白い、ということは非常に大事なことです。面白くなかったら人生そのものが貧しく、つまらないものになります。

ですから、今、就職や転職を考えている皆さんには、自分はどんなことが得意で、どんな能力を生かして、どんな仕事をしたいのかを、まず真剣に考えてほしいと思います。「大会社に入れば安心」などという甘い考えは捨てましょう。安定志向はむしろ「人生のリスク」を伴うといえる時代に入ったことを認識してください。

「仕事」というのは確かに大変です。しかし、大変であればあるほど、やり遂げると、人や社会の役に立って喜ばれ、それが自分の大きな達成感として残るのです。ただし、あまり目先のことにとらわれ、焦る必要はありません。達成感というのは数年に1回でもいい、3年に1回でもいい、というぐらいの気持ちで取り組めば、必ず仕事に成果は出ると思います。

大切なのは「あまり安易な道を選ぶな」ということです。楽そうな仕事を希望する、困難そうな仕事は避けるなど安易な取り組み姿勢では、およそ達成感などは得られません。たとえ難しくても真正面からぶつかって、地道に前に進み、そして、もしうまくいけば、それは何ものにも代えがたい達成感になります。

これから働き始める人にアドバイスしたいのは、希望の会社であってもなくても、入社したらまず、与えられた仕事に3年間、真剣に取り組んでみてほしいということです。自分にとって不得意だと思う仕事でも一生懸命に努力してみたら、おもしろさが出てきた-なんてことが現実にはたくさんあるのです。

私が良いときでも悪いときでも仕事で常に意識し、実行してきた3つの言葉を皆さんに贈りたいと思います。それは「明るく」「楽しく」「前向きに」です。個人も組織も、仕事をする人の表情が明るいと、自然と努力をします。そうするとアイデアがどんどん出て、大きな成果に結びついていくのです。ぜひ心掛けてください。(聞き手 小林隆太郎)

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 わたしは、「マエムキング小川」と呼ばれている。なぜ前向きに仕事に取り組んできたかは、北城さんのいうとおりである。前向きでも、後ろ向きでも、使う時間は全く同じ。悲観的にではなく、楽観的に同じことに向き合うほうがずっと楽しいだろう。

 まわりの人達も、楽観的にしているほうに寄り付いて来るものだ。仲間が増えれば知恵も出る。パワーも増す。だから、苦しくても、仲間は見放さないし、笑って励ましてあげるのだ。