あなごや本店@静岡で、生涯で一番おいしいうなぎを食べました

 東京マラソンから一週間。昨日は、静岡駿府マラソンを走った。5回目の参加である。肌寒い。気温は7度。陸連登録をしているので、一番先頭からのスタートになった。この大会も参加者が年々増えて、ハーフだけで4千人。全部で1万4千人がエントリーしている。

 これまでの戦跡は、1時間40分(10年前)を最高に、ほぼ1時間42分~48分のタイムだった。丸亀ハーフに続く、高速コースである。フラットで走りやすい。
 しかし、今回は、さずがに東京マラソンの疲れが残っていた。かろうじて、1時間49分40分でゴールイン。ハーフの制限時間が2時間ときびしいので、ある程度の走力があるひとしか、このレースにはエントリーしていない。
 全体の中では、ほぼ真ん中の順位である。1600番台。雨の心配もあった。風がやや強いのを除けば、天候としては幸運なほうである。駿府マラソンは、いつも冷たい雨の中を走らされる。

 走り終わって、静鉄ホテルプレジオの一階にある「プロント」へ入った。プレミアムモルツのぎんぎんに冷えた生を飲むためである。おいしい!ぞ。
 しかし、プロントには、お昼はおつまみが置いていない。しかたがないので、カツカレーを頼んで、トンカツをさかなに、モルツを二杯。これがまた、すごくうまいのだ。

 体がぬれて冷えているので、早期のチェックインをさせてもらった。午後は、部屋でお昼寝のつもりだった。ところが、NHKのスイッチを入れると、びわこ国際マラソンの中継中。レースは、35K地点で、日本人選手がトップを争っていた。もう眠れない。
 今回も、川内選手(春日部高校)に続いて、一般参加(佐川急便)の山本選手が、日本人のトップに躍り出た。2時間8分台で、ロンドンオリンピック選考を確実にした。
 素人ランナーとしては、うれしい限りである。一般参加の選手が、招待選手を抜き去るのは気持ちがいいものだ。自分たちの走りにも励みになる。

 夕方になって、雨脚が激しくなった。
 唐突なのだが、ハーフマラソンの折り返し点をすぎたところ(12KMあたり)で、「ひつまぶし」の看板が目に付いた。東京マラソンの川内と同様に、わたしも給水(アクエリアス)を何度もとりそこねていた。ランナーならばご存知のように、糖分と水分が不足すると、脳みそが「もう走るな!」とブレークをかけてくる。
 そんなおなかがすいた状態に、うなぎの看板である。衝動は、もうとめられない。夕方、走り終わってから、「この店のうなぎを食べに来よう」と思った。しかし、あいにく、走り終わった時点では、その店の名前が思い出せない。
 フロントに電話して、「おいしそうな看板のうなぎ(ひつまぶし)があったこと」を、女性に話した。最初は、「う~ん、その場所にある店は、わたしたちは知りませんですね」とそっけなかった。残念、雨も降っているし、店も遠そうなところだったし、、、

 3分ほどして、コールバックがあった。時計は7時3分。
 「お客さまがごらんになったのは、「あなごや本店」の看板ではありませんか?」と。電話を受けてくれたフロントのお姉さん(靭矢さん)が、駿府マラソンのコースを細かくチェックしてくれたらしい。マラソンの沿道にある、「ひつまぶし」を食べさせてくれそうなうなぎやを、かたっぱしから丹念に探してくれたのである。
 おまけに、あなごや本店の営業時間が、日曜日は7時半までであることまで調べてくれていた。ここまでやってくれたのだから、もうタクシーを呼ぶしかないだろう。
 実は、わたしが見た看板は、橋の向こう側である。あなごや本店は、静岡駅から近いところにある。明らかに、店名も違っている。でも、靭矢さんの心意気に感じて、あなごや本店のひつまぶしを食することにした。
 靭矢さんたちのスタッフは、どなたも行ったことがないらしい。しかし、静岡では、超のつく有名店らしい。

 タクシーは3分で来た。すでに7時10分。およそ5分で、タクシーはあなごや本店に到着。実は、もっと近くに「あなごやの支店」があったのだが、彼女が注文してくれたらしいから、今回は遠めにある本店に。
 雨の日曜日で、店内に客はいない。でも、なかなかのたたずまいの老舗である。文久2年(江戸時代)の創業で、3種類のうなぎを扱っていた。坂東太郎(利根川水系のうなぎでやや太い)、大井川共水(大井川のうなぎでやや細めで脂ののりがよい)、駿河第五郎(ご主人の稲森秀明さんからの説明はとくになかった)。
 せっかく静岡にきたのだから、利根川のうなぎを食べることもないだろう。昨年、大井川鉄道(蒸気機関車)に乗って、「井川もみじマラソン」(20K)を走りにいった。ここの選択は、地元の大井川共水だろう。
 結果は、おかげさまで、生涯でいちばんおいしいうなぎを食べることができた。店主の稲森さんによると、「大井川共水は、天然のうなぎに近い育て方をした養殖うなぎ」である。二合徳利があいたところで、「次回は、是非ともしら焼きを!」奨められた。
 もっとも、おいしいだけに、お値段も張りました。大井川共水のひつまぶしは、一人前4千4百円。生涯で一番高いうなぎでもありました(笑い)。でも、その価値はじゅうぶんにあります。

 ちなみに、ホテルに戻ると、靭矢さんが、一枚のメモ紙を差し出してくださいました。
 「かん吉 静岡店(安倍川駅から1105M)」。
 マラソンの帰りのコースを再度チェックしてみたところ、復路コースの左側(私の記憶を伝えてあった)に、ひつまぶしの店があることを確認。
 年季が入った、極上のホスピタリティである。次回の宿泊予約は、絶対に、静鉄プレジオですよね。
 「わたしも今度、あなごや本店に行ってみます!」と、にっこりの靭矢さん。

  
 あなごや本店: 静岡市葵区新通1丁目2の3、電話:054-252-0268