「フラワーバレンタイン(2012年)やIFEX(2011年)での若者たちの活動に期待しよう!」

 国際フラワーエキスポ(10月13日~15日開催)で配布される巻頭言(JFMAニュース:2011年10月号)に、標記のような文章を載せた。アジアの花産業は、献身的で有能な若者たちに支えられている。後継者たちがまちがいなく育っている。今月23日、安心して還暦を迎えられる。

 「フラワーバレンタインやIFEX2011での若手の活躍に期待しよう」
 『JFMAニュース』2011年10月号      JFMA会長 小川孔輔

 ごく稀にいることはいるが、「花を贈られて嫌な気持ちになる人」はほとんどいない。とくに、女性を対象にして調査をすると、「うれしい」と答える人が9割以上はいる。そんな魅力的な商品は、実物紙幣以外にこの世の中には存在していない。にもかかわらず、ふつうの日本人は、「花のある生活」を楽しんでいない。

 20年前で花産業の市場規模は1兆円ほどあった。決して小さな産業ではない。花産業の改革に取り組みことを決意し、10年ほど前に「日本フローラルマーケティング協会」(JFMA)を設立しようと思った理由である。
 原点には、産業としての潜在力を信じ、新しい用途開発(使用場面の提案)と供給の仕組み(鮮度保持やロジスティクス)を作ることができるはずだという楽観があった。冠婚葬祭などの業務需要は昔からあったし、そのための仕組みもそれなりにしっかりしたものを、花業界の先人たちが残してくれていた。
 しかし、日常需要(ふだんの生活の中の花)となると、バレンタインに男性から女性に花を贈る習慣などの基本的な事柄でさえ、海外の標準を移転することに成功していなかった。

 ようやく今年の2月になって、「本物のバレンタインはじめよう」というキャッチフレーズのもとに、業界が一丸となって、「フラワーバレンタイン」の運動をキックオフできるようになった。そして、今年も、フラワーバレンタインのキャンペーン企画はすでにはじまっている。昨年に引き続き、新しいキャッチコピーとポスターが完成している。キャンペーンに参加するやり方は、実店舗だけでなく、ネットショップにも広げるつもりでいる。
 ワーキングチームでは、雑誌や電波メディアとのコラボ、レストランや他業界とも連携を強めていくことを今年の重点課題にしている。今年度と同様に、前日の2月12日(日)には、銀座や新宿などで、花の無料配布を実施する予定でもいる。花業界への普及をさらに推進するために、キャンペーンへの参加を促すための「早期割引」などの工夫も検討中である。いずれにしても、業界が一丸となって取り組むことができるキャンペーンに育っているのは間違いない。

 二年目に入って、キャンペーンの立ち上がりは、昨年よりはスムーズのように見える。運営企画メンバーは、昨年とほぼ同じである。フラワーバレンタイン推進委員会の会長は井上英明社長(青山フラワーマーケット)、ワーキングチームのリーダーは小川典子さん(キリンビール)。
 その他のメンバーも、花業界の未来を担う若手たちで構成されている。この産業の未来は、わたしたち団塊前後の世代ではなく、年齢的に20歳以上も若い若者たちに、ようやく引き継がれつつある。
 フラワーバレンタインのキャンペーンは、もちろん、「男性から女性に花を贈る習慣」を日本の社会に定着させるための手段である。初期のキャンペーンとして有効に機能しているが、それ以上に、ワーキングチームで企画の仕事に従事している若者たちの献身的な努力を見ていることが、わたしの目に心強く映る。

 ある特定の産業に未来があるかどうかは、若者たちが仕事として取り組んでおもしろかどうかにかかっている。どうやら、花産業には有能な後継者が育ちつつある。
 周りを見回してみると、フラワーバレンタインの推進委員会メンバーだけでなく、今月の13日からはじまるIFEXに参加してくる生産者の中にも、花産業の未来を担うことができる若者がたくさんいる。
 とくに今年は、IFEX会場の中央付近に、新たに生産者の「テーブルブース」が登場する。200人近い生産者が、3日間そこの場所に出展している。「出店者」の商品と提案に注目をしてみたい。