還暦を前にして、なぜ走り続けているのか? 要するに、M(マゾ)なんだよね。

 本日は、韓国・済州島マラソン(6月12日)の最終調整で、自宅周辺を21KMを走ってきた。3時間走(30KM)のつもりが、左足小指にまめができそうになり、急きょ2時間走に変更した。済州島マラソンへの参加は、9月開催の田沢湖マラソンのためである。去年の屈辱を晴らしたいのだ。


実は、マラソンをはじめたのは、45歳からである。皆さんが走りをやめるころに、突如、フルマラソンへのチャレンジしはじめたのである。
 最初は、練習なしで走ったホノルルマラソンで、最後の20キロを歩いてしまった。いま考えてみると当り前のことだが、よれよれで5時間半もかかってしまった。生来の負けず嫌いである。ゼミの学生だった小島覚(東京日動火災)にも、30分ほど負けた。
 それが悔しくて、フルマラソンをはじめたのである。目標は、フルで4時間を切ることだった。そのために、ハーフは1時間50分以内でコンスタントに走れるようになること。

  52歳のときに、念願の3時間58分で、フルマラソンを完走した。これまでに、昨年の東京マラソンなど、サブフォー(3時間台)を3回達成している。青梅の30KMも、5回目の挑戦で2時間30分台を達成できた。
 ハーフマラソンは、このごろ1時間50分を切れなくなっているが、最盛期の52歳ごろには、1時間30分台で走っていた。1時間40分台前半は、ふつうだった。
 加齢とともに、ハーフと10Kは、だんだんタイムが落ちている。そして、このごろは年間に2~3冊の本をコンスタントに出版するために、練習時間が不足している。それでも、走り続けているのはなぜなのかと、もはや周囲から問われなくなった。
 わたしが走るのを見るのが、ふつうになったからだろう。でも、自分を鼓舞して、毎月150~180KMを走り続けるのは、並大抵のことではない。

 自分をマラソンにドライブさせている(突き動かしている)要因を考えることがある。極めつけの「M体質」である。自分のマーケティング教科書には、「M(マゾ)」のマークを入れている。Marketing ManagementのMではない。Masochism(マゾの語源)のMである。
 下り坂よりも、上り坂が好きである。坂道を登っているときは、苦しいものだが、その逆のことを考えている。この同じ距離を、この先の帰り道は下りになるから、すごく楽ができるよな。そう思って走っている。
 天候が良い気象条件よりも、昨年の東京マラソンの時のような、「スタート時の天候は小雨、気温5度で微風」。そのほうがタイムは良くなる傾向にある。
 今年の東京マラソンのように、すごい好天に恵まれてしまうと、かえって結果は散々である。逆境のほうが、心が躍るのである。順風満帆の環境では、血も肉も踊らない。

 ふだんのしごとについても、それは言えるかもしれない。難易度の低い問題には、取り組みたくない気質である。単にへそ曲がりで、わがままなだけであるが、これは大いに損になった。
 たとえ、仕事への報酬が多額であっても、楽にこなせる仕事には気持ちが乗らない。かえって、簡単な間違いを犯してしまう。たぶん、天の邪鬼なのだろう。
 それに加えて、M体質だから、これは始末が悪い。一生を通算してみると、刻苦勉励しているのに、結果がついてこないこともありうるのではないか。少々、このごろ、M体質に恐怖感を覚える毎日である。
 いつまでも、「上り坂が好き」とばかりも言っていられないかもしれない。