そのむかし(昭和45年=1970年)、東大の入試手続きで、最終登録者になったことがある。経済学部の二次試験に合格し、身内や友人と大いに喜んでいた。その後は、同年に合格した友人たちとマージャン三昧だった。遊びほうけていたら、入学手続き日が過ぎてしまった。
そのこと(入学手続きをしていないこと!)に気がついたのは、東大の事務から、「入学はなさらないのですか?」という電話をもらってからである。受けたのは母親だった。
おそらく、理科系では、二期校(地方国立大学)の医学部に合格し、理科1・2類を蹴る学生はいただろう。しかし、文系学部で、東大に受かって入学しないケースはなかったのだろう。
あわてて、上京したものである。お調子者は、真っ青だった。最近では、東大と慶応(湘南藤沢)に同時に合格した学生が、慶応を選んだケースなど、増えてきているようだ。
その昔は、そんなことは起こりえなかっただろうから、例外の事例とは思われなかったのだろう。やはり、お気楽もののわたしの単なる不注意、であった。
40年ぶりに、そのような事態をまた、引き起こしてしまった。うっかり人間が、大ちょんぼをまた寸前に犯すところだった。
「黄熱病予防接種の件で、今現在確認がとれている方についてご報告させていただきます。他の方につきましても、引き続き確認いたします」(2010年12月15日)という警告のメールを、アフリカツアーの企画者、海下常務理事(クリザール・ジャパン副会長)からいただいたからである。
アフリカ(ケニア、エチオピア)に行くには、事前に黄熱病の予防接種を受けなければならない。旅行のしおりを開けば、そのことが載っているのだが。例によって、封筒の封を切ってもいなかった。やばい。
秘書の福尾に頼んで、東京周辺で予防接種ができる場所を探してもらった。またしても、大慌てである。なんと、探せたのは、締め切りのぎりぎり、1月11日午前10時~、だけであった。詳しい場所はわからないが、10時~10時30分の間しか、枠はないとのこと。
出発は、1月20日の夕方、成田からバンコク経由、ナイロビ行きである。10日までの午前中が、最終の予防接種期限である。笑ってはいられない。これを逃したら、一生涯、アフリカに渡ることはできないのだ。
寝坊は絶対にできない。時間厳守だそうだ。わたしの人生は、いつもながらだが、またまた綱渡りだなあ。そう思う。このどじな悪癖は、一生かかっても、直りそうにない。