昨日の日経新聞(10月12日号)に、「あいおいニッセイ、マラソン中止保険 参加料払い戻し」という記事が出ていた。ご覧になった方もいらっしゃると思う。実は、このアイデアは、わたしが一方の当事者である「アールビーズ」(マラソンの大会エントリー、時間計測、大会運営の会社)の取締役会で提案したものである。
コロナの感染が広がる3年前のことである。千葉や九州が台風被害で、多くのマラソン大会が中止になった。しかし、大会要項には、払い戻しをしないという条項が書かれていた。ほとんどの大会は、中止になったのに参加料は払い戻しされなかった。いちおう、事前に「参加者には払い戻しはしない」と断ってあったからだった。
わたしは、社外取締役をしている「アールビーズ」の取締役会(2018年秋)で、「ランナーの立場から、大会エントリーを代行している会社として、参加者へ返金するような仕組み(大会中止保険)を考案すべきだ」と訴えた。大会参加者のモチベーションを下がり、長期的には、自社も大会主催者もランナーも、「三方ハッピーではない」と考えたからだった。
橋本社長も同じことを考えていたようで、早速、記事にある「あいおいニッセイ損保」と返金保険の商品設計に着手した。そこから三年で、以下の記事に書かれていることが実現した。少しは会社や業界に貢献できたと思う。
2021年10月12日 2:00 [有料会員限定](日経新聞)
あいおいニッセイ同和損害保険がスポーツ関連事業のアールビーズ(東京・渋谷)と組み、マラソンランナー向けの大会中止保険を10月内に売り出す。スマートフォンで加入でき、大会が台風などの風水害で中止した際に参加料を全額払い戻す。人々の生活の様々な場面でスマホで気軽に入れる個人向け保険市場が広がる。
アールビーズが手がける大会申し込み用のスマホアプリで新保険を販売できるようにする。大会の申し込み手続きの最後に個人情報を再入力せずに加入できる。2017年の横浜マラソンや18年の札幌マラソンなど台風で中止した大会は増えている。しかし大半の大会が参加料を返金しないため、大会主催者とランナーの間でトラブルになるケースが多い。これまで主催者はランナーとメールやはがきでやり取りをする場合が多く大会中止時に低コストで迅速に払い戻すのが困難だった。
新保険で参加料の払い戻しに必要な個人情報をスマホで事前に入力すれば、ランナーは大会中止時に円滑に保険金を受け取れる。あいおいニッセイは大会中止時にメールで保険金請求を案内して、請求手続きはオンラインで完結させる。参加料が1万円の場合、保険料は500円とする。