授業の”後始末”になる。<個人課題#3>でS評価を獲得したレポートを掲載する。いま手元にあるのは、荒木さんと小平くんのレポートである。とりあえず2人のものをアップしておくことにする。武笠さんも、お時間があるときにファイルの提出をお願いします(*今朝方、提出をいただきましたので、追加しておきます。1/27)。
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2021年度「ビジネスイノベーター育成セミナーⅡ」課題
21W0103 荒木真喜子
①4人のゲスト講師の講義で、一番印象に残った講義は?
相模屋食料株式会社 代表取締役社長 鳥越淳司氏の、伝統食品「おとうふ」しみついた【常識】に挑むが、一番印象に残った。
②なぜ、その講義が印象に残ったのか?
理由は、「決断のあり方」が独特だったからである。特に、理論は「後づけ」であるべき、が印象に残っている。なぜなら、私も経営者であり、鳥越社長と同じ考え方で決断してきたからである。私の経営も、まさに「ふと気づいたら理論にのっとってました」であった。しかし、私は、その方法が怖くなったのである。私の成功は、たまたまであり、私の決断が正しかったわけでは無いのかも知れないと感じたときに、理論をきちんと勉強したいと考えた。また、「振り返れば理論にのっとっていた」のなら、「先に理論が分かっていれば、もっと良い決断ができる」とも考えた。それが、今、法政大学で学んでいる理由である。
③その講義の内容を今の自分の仕事やこれからにどう活かすか?
私は、4代目の社長である。そもそも創業者でないため、事業に対する想いなどというものは、後付けでしかない。実際、好きではない事業であったが、経営そのものは楽しかった。しかし、その理由が何故だか、長い間わからずにいた。鳥越社長も同様に、豆腐愛が強かったわけでもない。誰も知らないという豆腐という未知なるものを、創業者として普及させることに燃えていたわけでもない。誰もが知っていて、変えようもない伝統産業の豆腐業界の中で、経営を楽しめているのはなぜか。それは、鳥越社長が、常に「常識」を疑い続け、常識を変えることを楽しんでいるからではないだろうか。つまり、常識を破ることへの「挑戦」こそが、鳥越社長が、経営者としてやりたいことなのではないだろうか。
また、常識で固まり切った従業員の固定概念を払い、自分が奇想天外なアイデアを実現させて見せ、成功を繰り返すことで、従業員にもやればできると感じさせ、意識変革を促し、自分の想いに深く共感する仲間をつくっている。ここにも楽しさの理由があるのではないだろうか。
経営とは何か。調べると、営利的・経済的目的のために組織体を管理運営すること、つまり、経営とは、辞書には「管理」的な概念として記されている。以前は、私自身も、経営とは管理と感じていた。しかし、今は、経営とは管理でも理論でもないと感じている。確かに、管理で従業員を統制できるが、それでは企業は成長しない。理論を知れば、経営を失敗しないかも知れないが、成功の理由は様々であり、理論では成功できない。
私に欠けていたのは、理論ではない「挑戦」であった。「振り返れば理論にのっとっていた」は、もしかすると、成功の秘訣の一つなのかも知れない。私が、忘れてしまったのは、無我夢中で挑戦する心であった。結局、経営とは、ある種の狂気であり、「ビジョンを描き挑戦し、その想いに共感する仲間をつくること」それに尽きるのではないだろうか。そこには、創業かどうか、事業が好きかどうかは関係ないことに、今さらながらに気づかされた。今後の経営に、欠けていた心を取り戻し、挑戦する会社へと変えていきたい。
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ゲスト講師の講義について
学籍番号:21W0114 氏名:小平裕
#1 一番印象に残った講義
(株)相模屋食料 代表取締役社長 鳥越淳司氏
#2 なぜその講義が印象に残ったか
鳥越社長の経営者としての考え方と2つのエピソードに深く共感したため。
1つ目は、社長が自ら製造現場に赴き、工場で2年間豆腐作りに従事した事で、職人と同じレベル・目線で製品・サービスを熟知し、経営方針の意思決定に役立てているエピソードである。講義の中で「先代の社長の婿養子」という立場で会社に入った背景から、他の工場内の職人からも決して歓迎ムードでは無かったとの事だが、気に留める事もなく淡々と腕を職人レベルになるまで磨いていった結果が相模屋食料の急成長の原動力となっていった。スティーブジョブズの” Connecting The Dots”に通ずる考えを感じた。
2つ目は、先代以外の誰もが反対する中、第三工場を建設したエピソードである。このプレッシャーは計り知れないはずだ。しかしながら、鳥越社長にとっての「この意思決定は未来のために絶対に必要な事である。だから投資判断をするのだ」という確信が意思決定を支えていたのだと感じた。「誰もが反対する中、たった一人でも暗闇を進み続けるチャレンジ」をこちらが想像を絶する程、幾度となく歩んできたのだろう。と、社長が歩み続けた道への畏敬の念を感じざるを得ない。(「ムダに詳細までの計画を立てない」「失敗の可能性を知っても意味はないのでリスク分析は感覚レベルで行う」等の金言もあった。)
#3 その講義の内容を今の自分の仕事やこれからにどう活かすか
鳥越社長は勿論、本講義「ビジネスイノベータ育成セミナー」では様々なリーダー像が垣間見えた。現代ではリーダーシップは多義的だ。しかしどのリーダーにも「共通している事」は、未来への投資を行う際まだ見ぬ一筋の光を目指して何回も何回もチャレンジしては失敗し、その都度立ち上がり、前を向いている事だ。そうして結晶化した確信が、当人の糧となり、大きな意思決定を支えるのだと感じ取った。私も大学院に入り今に至るまで、考えていた事業アイディアを幾度となく変えて(pivotして)きた。院で出会った方に限らず、院外でも多くの方との出会いと語らいがあり、抱えていた「これから」への不安の総量や悔しい思いをした回数も数えきれないが、今は経験した全ての事象とそこで感じとった感情の総量が、今の自分自身を形成する糧であり、行っていく事業への想いに繋がっていると思える。
自分と同じ夢を見てもらえるように。未来を語り、同士を増やす事が起業家かつ経営者の役割だと信じている。そして、それが見果てぬ夢とならないように。「ロマンとそろばん」のバランスを実現させるように、業界を牽引するリーダー達の教えを実践したいと思う。
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「GROUNDSWELL~大きなうねり~」を聞いて
21W1011 武笠 直子
①一番印象に残った講義
c. (12月4日) 株式会社ONE・GLOCAL 代表 鎌田由美子氏
②なぜその講義が印象に残ったか?
講義で印象に残った点は、仕事への情熱と取り組み方、生き方に対する想いである。
JR東日本という旧国鉄の固いイメージの企業において、常に自分のやりたいことを軸として、百貨店への出向など周りと違うキャリアに進むことを恐れずに情熱をもって取り組んだことが、エキュートの成功につながっていると感じた。駅構内をデパ地下のようにする構想は、前例のない大失敗で終わる可能性もある企画であり、当初は社内や社外から否定されたという話は想像がつく。講義の中で、バリアフリー化されていない大宮駅で一日中人の流れを観察し課題を見出した事、時刻掲示板のポールを黒から白へ変更する交渉を行った事などを説明いただいた。
事例を聞いて、駅構内のイメージを一新するために、上司や取引先からの批判にめげずに出来る限りの試みを行ったことが、駅利用者の心を捉え、今や駅を出なくても食事や買い物ができるのが当たり前というスタイルを生み出すまでに至っているのだと感じた。駅ナカのりんご販売員に地元の人を採用した事例をはじめ、利用者側や提供者側が感じている想いを理解し共に創り上げるという、共創の想いが表れていると感じた。
また、講義全体を通して、人生や生き方に対する考え方が印象に残った。仕事と私生活は対立軸ではなく、仕事と生き方は融合して考えるべきであり、仕事と私生活がリンクしあう事で相乗効果を生み、人生の充実感や幸福感を生み出すという考え方は大変参考になった。これからの時代はキャリアやプライベートを分けて考えるのではなく、まず「どう生きたいか」を考え、そのために「自分のできることを」を探し、その時々で常に全力で目の前の事に取り組む事で、自然と最適なバランスが見えてくるという考え方は今後の人生の選択を求められる場面や、壁に突き当たった際の指針にしたいと感じた。
③その講義の内容を今の自分の仕事やこれからにどう活かすか?
これまでの自分は仕事とプライベートを分離して、それぞれに目標や目指したい姿を設定していたことを改めて気づかされた。二者を分けて考える事で、仕事は社会的地位を得るためや外的報酬を得る事がメインとなり「どう生きたいか」、そのために仕事で何ができるかという視点が薄れていた。
一方、プライベートでは余暇を友人や家族とどう楽しく過ごすかを安易に考え、キャリアや生き方と関連付ける事が薄れていた。今後は、一度きりの人生を自分はどう生きたいかというシンプルな視点をベースとして、それに向けて今自分が仕事やプライベートの時間で何ができるかを自問していきたい。
その結果、仕事中心になる時期があれば、仕事以外の活動に比重を置く時期があってもよく、常にバランスを取るのではなく、人生トータルでのワークライフバランスであると考えていきたい。自分にとって、大学院進学は仕事とも関連するし、知識を深めたいというプライベートの充実にも関連しており、両者をリンクさせる存在である。
これからは仕事が忙しいから他のことができないという「only, or」の考え方ではなく、仕事、家族、友人、大学院、副業、ボランティアなど、それぞれの中から自分のやりたいことを選び挑戦する「and, with」の考えを持ち、勇気をもって一歩踏み出したい。その過程が、人生の充実感や幸福感を生み出していくのであると考える。