考えに詰まったとき、迷ったときは現場に足を運ぶ: ヤオコー所沢美原店へ

「小川町物語」(再編集版)の原稿を書くために、ほとんど外に出ていない。これで4日間、缶詰状態になっている。小学館の園田さんに送った序章「なぜしまむらとヤオコーなのか?」は長すぎるとの判断で、コンパクトに圧縮することなっている。


連載時の100ページ分(両社の歴史)に加えて、その前後に加筆して再編集する作業に入ってからすでに一ヶ月。この時点で、進行がすでに一ヶ月ほど遅れている。9月中旬の出版予定が、10月に先延ばしになっている。
 完成の目処が明らかになっていないので、出版までの作業スケジュールが決められない。先週末には、デザイナーのおおうち(大内)さんやマーケティング部の島田さんたちと、おおうちさんの事務所(北参道)で表紙装丁の打合せをした。
 ふつうならば、その時点で(先週の木曜日には)、文章校正のスケジュールが確定してもおかしくはない。編集担当の園田さんの判断は、おそらく、この先、ふた山、三つ山あると踏んでいるのだろう。

 なかなか出版日が決められないのは、今回の書き直しに当たって、わたしがライティングスタイルを大きく変えたいと思っているからである。どうせやるなら、これまでの書き方を大きく壊して、これまでのどの作家にもなかった新しい形をめざしたいと欲張っているからである。
 単なる流通ジャーナリストでもなく、大学の先生が書くようなリサーチ記録でもなく、どれにも属さない書き方のスタイルを追求している。そう、有名な企業を対象にしながら、自分にはお手本がないのだ。苦しみながら、無理やりに前に進んでいる感覚である。
 昨年、「マネジメントテキスト マーケティング入門」(日経)を書いているときも、いまの感覚と同じだった。先は見えているのだが、うまく書けないで七転八倒していたときがあった。
 
 あのときは、じりじりとすぎていく時間との戦いだった。今回も、連載時の原稿にはほとんど手をつけずに、あたらしく書きおろしている部分から、原稿に着手している。
 もくじは、完成している。園田さんの素案にしたがってある。

 「小川町物語」(「しまむらとヤオコー」(仮タイトル)
  序章  なぜしまむらとヤオコーなのか?
  第1章 成長を支える従業員たち
  第2章 しまむらとヤオコー 創業から軌道に乗るまで(連載原稿)
  第3章 対蹠的な成長戦略とシステム構築
  第4章 さらなる進化
  第5章 両社の未来
  エピローグ

 全体の構成を想像して模索しながら、書き続けている。書いては直し、直しては書き加える。文章ブロックの順番を入れ替えたりする作業は、朝方、なつかしい電話をいただいた千田編集長(チェーンストアエイジ)とのやりとりのときと同じだ。
 赤ペン(修正要求)と青ペン(ご意見)の色使いも、どうやら業界の共通記号だということがわかってきた。園田さんの赤ペンが少なくなると、ほぼ完成にむかっていることになる。
 なにごとでもそうなのだが、最初が苦しいのである。そのうちに、このペースに、自分も編集者もなれてくる。装丁される読者は、そのへんにたくさんいいるので、とくには困らないが、ときどき現場の風がほしくなる。

 そうなのだ。迷ったときや詰まったときは、いま書いている対象の現場に行ってみることがいちばんの解決策になる。ヤオコーの小澤部長(ミールソリューソン部)から聞いた、実験小型店(所沢美原店)に行ってみることにするかな。雨が降ってきそうなのだが。
 武蔵野線で新秋津まで出て、西武所沢線に乗り換える。二駅先が、目的地の新所沢駅があるはずだ。