皇居を走るランナーが減ったのでは?

 久しぶりで市ヶ谷の研究室から平日の皇居を周回してきた。風が強かったせいなのか、走っているランナーの数が少ない気がした。一般的には、若い女性を中心に一周5Kのコースを走るランナーが増えていると言われている。しかし、通行人との衝突事故などもあり、心なしか走る人は減っているようだ。

 わたしが走り始めた20年前(1990年代前半)の皇居周辺は、のどかなものだった。ランナーも少なかったし、観光客もいまほど多くはなかった。時計回りで逆走しても(実際に右回りは二度しか経験がない)、通行人や左回りで走ってきた走者とぶつかることなど考えられなかった。
 東京マラソンが始まった2007年ごろから、二度目のランニングブームで起こった。皇居の周りには、ランステ(ランナーズ・ステーション)が次々にできて、着替え用の銭湯が隠れた人気になった。麹町のパンドゥーシュ?など。雨の日に汚れたシューズで銭湯に帰ってくるランナーと、銭湯が開く午後3時にやってくる地元の商店主とが喧嘩になったりもした。
 いま皇居を走っていると、とくに週末は、周回コースのいたるところに警備の警察官が立っている。ほんとうは警備のためではなく、ランナーと通行人との間でしばしば起こるトラブルを未然に防ぐためだ。

 「ランナーのみなさんへ、ここはランナー専用道路ではありません。通行人の迷惑にならないように注意して走ってください」という趣旨の立て看板が、コースのあちこちに立っている。それだけトラブルが多いのだろう。
 わたし程度の平均的な走力をもったランナーでも、時速12Kくらいで体が動いている。自転車の半分程度の速さだが、衝突するときは二倍の時速24Kになる。両方から走ってきたランナー同士がぶつかったら、おそらくは大惨事になるだろう。
 そういえば、自分がこのごろ皇居を走らなくなったのは、なんとなく警備員の姿や立て看板に嫌気がさしていたからだと気づいた。週末に開催されている皇居マラソンにも参加しなくなっている。無料でも走れるのに参加費(2000円~3000円)がもったいないとも思うが、それにしても、皇居ランの風景が変わってしまったのだ。

 わたしのようなランナーが皇居から撤退していることには確たる証拠があるわけではない。ただし、昨日の皇居ランでは、微妙な空気の変化を感じた。ランナーの質の変化もあるようだ。走力のある皇居ランナーは減っているのではないだろうか。わたしを追い抜いて行くランナーがほとんどいなくなった。むしろ、散歩をしている年寄りの数が増えている気がする。
 そういえば、わたしは毎朝、自宅の近くの白鳥池の回りを走っている。すれ違うのは、ほとんどが連れだって歩いているご夫婦か犬を散歩させている近所の人たちである。走っている人などほとんど見かけない。こんなにまじめ(シリアス)に走っているのはわたしだけだ。傍からは変人に見えるのではないかと心配になる。

 それでは、調整池の周りを走ってくることにする。いまの時刻は7時過ぎで、走るには遅い時間だ。すれ違うのは、ほとんどが中学生と早朝出勤者たちになる。