返礼: 『月刊ランナーズ』創業者、橋本社長の授業内講演

こういうのを返礼というのだろう。先週末は、わたしが『ランナーズ』8月号(6月22日発行)の取材を受けた。本日は、橋本さんに創業の頃のお話を伺う。「健康・快足ランナーとともに35年(仮)」特別講師:橋本治朗氏(㈱ランナーズHD 代表取締役社長)である。講義の詳細は、のちほど、ここにアップする。 


本日の正式な講演タイトルは、「ランニング市場の開発とサービスの変遷」となった。大学院生が主たる聴衆だったので、「雑誌ランナーズ」の進化形である「㈱アールビー」(RBS:Running, BICYCLING、SWIMMING)のビジネスモデルの話をしていただいた。

 パワポを掲載できないので、講義の項目を書き下してみる。雰囲気を味わっていただきたい。

 1 スポーツマーケット
 2 RBSの歩みと現状
 3 RBSのビジネスモデル
 4 出版の壁
 5 直販のメリット
 6 イベント
 7 計時REGS
 8 NET
 9 映像
10 ランニングステーション
11 医療費の拡大
12 今後
13 RBSの展開
14 メッセージ  

 日本のランニングブームを演出してきた橋本さんだが、誰もいない市場を果敢に攻め続けてきたことが成功の最大の要因である。ランニング市場ではダントツの一位、売り上げ50億円弱にまで成長したきた。
 事業が発展するきっかけは、直販で書籍を販売したこと。いや、販売せざるを得ないところから始めたことである(4.5)。もし取り次き経由で雑誌を販売していたら、その後の情報化やネットシフトも夢のまた夢だっただろう。エントリー代行業もなかっただろうし、マラソン大会の運営一括請負事業も存在していない。
 橋本さんの経営者としての発想でおもしろいと思ったのは、自社の事業を位置付ける客観的な目である。雑誌の発売やイベント開催、エントリー代行事業、ランナーズステイション(皇居ランナーのためのシャワールーム)などは、独立した事業として考えていない。そうではなく、ランナーが走るためのプロセス(満足の過程)を完遂する手段(道具)として位置付けていることにある。
 1976年に「ボストンマラソン」を取材して、1979年に、ヘリコプターから写真家として、ニューヨークシティマラソンを撮影した。橋本さんが、30年前から「東京マラソン」を構想していたことにはびっくりした。
 最後の「願えばいつかは実現する」は同感であった。起業しようとして本学に入学してきた院生たちに、橋本さんの話は、きっと勇気を与えてくれたことだろう。