欧州ツアー便り#3:ランジスの精肉、チーズ市場

めずらしい経験をした。パリ郊外のランジス市場に予定の時間より早く着いた。ガイドさんの提案で、花市場を見る前に、精肉の市場とチーズの市場を見ることになった。


ランジス市場は大きな町になっている。銀行や病院もある。町には6つのセクションがある。鮮魚、精肉、青果、乳製品、惣菜。花は6番目である。食べる物なら、なんでも揃っている。パリの胃袋とも呼ばれる。取扱高は約8千億円。世界一である。日本の市場には、乳製品と惣菜はない。乳製品は、実際は、チーズの取引所である。レストランビジネスの裾野が広いフランスならではの市場である。惣菜もおなじである。
 ランジス市場は、パリ周辺にすんでいるの約1800万人の生活を支えている。一種の食料倉庫である。惣菜工場や弁当工場を見たことはあるが、精肉の市場を見るのは、生まれてはじめてだった。ランジス市場の案内人、フィリップさんが特別に準備してくれた白い帽子と、白い作業着に身を包む。庫内が4度に保たれた相対の取引場に入る。
通路をはさんで、両側に仲卸しの店が並んでいる。一店が30坪ほど。奥にカウンターがあるが、店の入口には、ワイヤーコンベアから吊された肉が、ぶら下がっている。
 牛、豚、羊、鶏。皮をはいであるが、動物の原形がわかる。グロテスクを通り越して、みごとである。優良な肢体には、生前の写真が貼付けてある。だれかが、「遺影だね」と言った。ランジス全体では、約1300人の卸しが入場している。肉の建屋には100社くらいが入場しているように見えた。チーズの市場の体験も面白かったが、それはまた別の機会に。