昨年10月に実施した、JCSIのデータ集計が無事に終わった。9つの業界については、その結果を今月中に公表することになる。今回は、百貨店、通信販売、旅行業、国内交通(長距離)、国際航空、銀行、生命保険、損害保険、証券である。金融業は、はじめての調査になる。
前年の調査との大きなちがいは、輸送サービスの分類を変えたことである。例えば、エアラインの国内線と国際線は分離して、長距離交通の中に、国内航空会社とJRなどの鉄道を含めた。競合の程度で比較しようとしたものである。最大の目玉は、金融業界を同じ調査項目で相対的に比較したことである。
質問である。銀行、生命保険、損害保険、証券の4つのサービスを消費者が比較したとき、どの業界が満足度が高くなるだろうか?もちろん企業によって、顧客サービスの満足度に差が出るのはわかっている。それでもあえて、順位をつけるとしたらである。
正解は、トップが銀行、2番目が損害保険、3番目が生命保険、どん尻が証券である。4つの業界ともに、ネット系のサービスを含んでいる。有店舗系には、もっと評価がきびしくなる。ちなみに、業界内の企業間のばらつきが一番小さいのは、損害保険の顧客満足度である。銀行と証券は、企業間格差が大きい。したがって、単純な中央値では、損害保険の業界がいちばん満足度が高いことになる。
通信販売業界のCSIは、昨年に続いてかなり高い。とくに、連続トップのA企業のCSIは、100点満点で2年連続80点を超えている。レジャー産業のトップ企業に続く満足の高さである。接客(人的接触)が無いほうが良いかといえば、そうでもない。
業界指数とトップ企業のデータ公表は、1月末になりそうである。企業名を付しての「総合ランキング」(トップ30あるいは50)と「30業界のトップ企業名と指数」の公表が、2ヶ月先に迫ってきている。
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3月に予定されている日本版CSIの公式ランキング発表の際に、われわれ(JCSIーWG改善プロジェクト)のチームは、次のような質問に答えることができるように、いま準備を進めている。
(1)日本でいちばん顧客満足度(CSI)が高いサービス企業はどこか?
(2)同じく、再利用意向度(また利用したいと思われている)がもっとも高い企業はどこか?
(3)ユニクロと無印良品とニトリとでは、どのチェーン店の顧客満足度が高いのか?
(4)ドンキホーテやヤマダ電機のようなディスカウンターを、消費者は顧客満足が高いと見ているのか?あるいは、単に価格が安いだけの会社とみなしているのか?
(5)値段の違いは、顧客満足度にどの程度反映されるものなのか?例えば、一泊3万円のシティホテルと一泊5千円以下のビジネスホテルとで、顧客満足度に差はあるのか?
(6)国際線と国内線とを同時に運営しているエアラインで、顧客満足に違いは出るものか?
(7)JALの利用客は、昨年から日本航空のサービスに対して評価を変えたのかどうか?
(8)ふつうに言われている「顧客満足」を超えるサービス(「感動や驚き」)を提供している企業はどこか?
(9)介護や学習塾のように、サービス利用者と支払者が異なる場合、顧客満足度や再利用意向に影響はどのように出るものなのか?
(10)満足した顧客は、どのような業界で他社に多くの「口コミ」を伝えるものなのか?