マクドナルド感想文(2008年10月課題図書)

先月の課題図書、原田泳幸『ハンバーガーの教訓』の優秀作品4篇をアップする。つもりだったが、現時点ではゼミ生からは2名しかファイルが送られてきていない。臼田周子さんと志田裕介君のふたりである。次回課題図書(12月)は、池内タオルの池内計司社長の著書である。11月発売である。


「マックへ行こう」臼田周子

 私はこの本を読み、一番強く感じたことは「基本の大切さ」である。この本には「基本の作業は最も簡単であり、誰もが遣りたがらないものである」と書かれていた。マックからマックへ転職を遂げた原田さんに期待されていたものは、基本となるQSCの徹底であったのである。バック・トゥ・ザ・ベーシック・ウィズ・イノベイティヴマナーをスローガンに「基本に返ろう、ただ新しいやり方を通して」という意識の徹底を行った。危機こそ基本に返ろうというポリシーを持ち、マックは息を吹き返したと思う。大規模なキャンペーンや新商品の開発などを行うことで話題を作るのではなく、クルー一人ひとりの意識向上と共に、QSCを見直すことで、マックは大きく変わったのである。目立つ華やかなことを行うのではなく、しっかりとしたベースを作り、そこに新しいものを重ね付けていく戦略に私は非常に感銘を受けた。QSCこそ見失われていたマックの原点であり、最大の強みであったと思う。
 企業理念を共有するための「組織改編」に書かれていた、理念を共有するという言葉が印象に残った。マックは原田さんが入社する以前、本部と各地域の本部それぞれにマーケティング部がある二重構造になっていた。このことにより、明確なかたちでスピーディーに企業理念や企業戦略を伝えることが出来なかった。しかし、本社機能をサポートする間接部門を統一することによって、フラットな組織構造に変わったのである。私もサークルやアルバイト、ゼミナールといった組織に所属しているが、その中でもゼミナールの結束は強いと思う。その理由はクレドという共有できる信念を掲げ、同じ目標に向かって動いているからである。共通の意識を持ち、更にフラットな環境がゼミナールにはある。チームで行うミーティングでは、先輩・後輩関係なく自身の意見を交わすことができるのである。マックのマネージャーやクルーも肩書きは一切関係なく、コミュニケーションを大切にしている。本社でも、オフィスに閉じこもって仕事をするのではなく、現場に行くことを大切にし、現場のスタッフ、本社のスタッフ、それぞれと密接なコミュニケーションをとっているのである。できるだけ店舗に足を運ぶことによって、マーケティングもファイナンスも自然と理解できるのである。現場を知らずにいて、何ができるのかという原田さんの考えに共感した。
私がマックに求めることは何だろうかと考えたとき、それは味や値段ではなく、サービスであった。マックのクルー戦略はハンバーガー大学に代表される様に、業界からも注目されている。マックのようなチェーンはマニュアルに雁字搦めになっているイメージが強くあった。しかし、この本を読んでそれは大きく変わった。お店ごとの戦略、さらにはクルーが自ら考え動く姿がこの本には書かれていたのである。この背景には、クルーやマネージャーのマックで働くことに誇りを持っていることが挙げられる。私はこれからもマックは滅びることなく、成長し続ける企業であると思う。これからのマックに期待をし、私自身マックのようにベースを大切にし、成長していきたいと思う。
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「ハンバーガーの教訓を読んで ~ 私がマックに足を運ぶわけ~」
 志田 裕介

 私は、頻繁にマクドナルドに足を運ぶ。時間を潰すため、腹ごしらえをするため、友達と喋るため、などと理由は様々であるが、「とりあえず、マックに行こう。」と思うのである。それはなぜだろうか。理由はいくつかある。
まず一つ目に、気軽に利用出来る価格であるということだ。私はコーヒーをよく飲むのだが、ちょっとしたカフェ(スターバックス)などに行くと、コーヒーを一杯飲むだけに300円は軽く使ってしまう。しかしながら、マクドナルドに行けば、120円で済む。クーポンや無料券などを頻繁に配布してくれるので、さらにお得になる場合もある。しかも、また行こうという気にさせてくれるのである。このことは、「客単価ではなく、客数を考える。客数は、『顧客の獲得数×来店率』で計算される」という表現で、本書にも書かれていた。マクドナルドは、客数を上げるための努力をし、来店率、すなわちリピーター率を上げているのだ。なんだか悔しいが、私はその戦略に乗せられているのである。しかし、私を含め、多くの顧客はこの価格に満足しているはずである。
二つ目は、店内の雰囲気だ。一昔のマクドナルドは、乱雑に椅子が並べられていて、中高生の溜まり場という雰囲気があった。個人的な意見になってしまうが、大学生はマクドナルドに入りづらい雰囲気、マクドナルドはダサいというイメージを私は抱いていた。しかし、最近のマクドナルドはどうだろうか。店舗にもよるが、机が広く、ソファーの座り心地も良い。また、コンセントや仕切りが完備されている店舗もある。分煙もしっかりされている。その結果、「マックは中高生のもの」というイメージから、「大人でもくつろげる」というイメージに変わった。大学生が入っても恥ずかしくないし、実際、最近では、サラリーマンやOLの姿も見かけることができる。余談ではあるが、私の家の近所のマクドナルドは、早朝に行くと、ご年配の方々の溜まり場となっている。おそらく、近くの公園で体操を行ってきた帰りなのだろう。このように、様々な年代からの支持を確立しつつあるのだと、私は感じた。
三つ目は、味という点である。最近、マクドナルドの商品はおいしくなったという感想を抱いているのは、私だけではないはずだ。その大きな原因となっているのが、本書にも書かれている、メイドフォーユー(MFY)というシステムだ。MFYは、お客を待たせないという作り置きの利点と、できたてのおいしさを提供するという注文を受けてから商品を作る利点を併せ持った、画期的なシステムである。このシステム自体、私は本書を読むまで知らなかったのだが、ある時から、マクドナルドは作り置きではなく、注文を受けてから商品を作る、すなわち、作り置きをしないという点には気づいていた。実際に、マクドナルドで待たされるという経験はないし、しかもいつも温かい商品を食べることができている。そのシステムを急速に推し進めたのが、原田氏だそうだ。このシステムをわずか半年で全店舗に導入したのだから、驚きである。原田氏の言葉を借りるなら、まさに「不可能を可能に」したということだ。
以上の三つが、私が頻繁にマクドナルドに足を運ぶ大きな理由である。しかしながら、本書を読んで気づいたことは、この三つの理由の根底にあるものはただ一つ、「QSC」だということだ。
Quality(品質)Service(サービス)Cleanliness(清潔さ)という、飲食業の基本中の基本ともいえることを、徹底的に極めることで、原田氏はマクドナルドを成長させてきたそうだ。品質は味、サービスは価格、清潔さは店内の雰囲気という点で、私のQSCの満足は、知らぬ間に満たされていたのであった。原田氏が言っている「基本に戻ろう、ただし新しいやり方を通じて」という言葉の通り、どれもが画期的なアイディアなのだが、逆に言えば、どれもが基本であるといえる。

最後に、サービスという点で、マクドナルドの店員の接客について少し述べたいと思う。マクドナルドの接客レベルは、非常に高いと思う。実際、どんなに忙しくても笑顔で、「いらっしゃいませ」と出迎えてくれる。しかしながら、先日、少し嫌な思いをさせられしまった。私が、朝の9時ぐらいにマクドナルドに行ったときのことである。いつもなら、いらっしゃいませと出迎えてくれるはずなのだが、アルバイト店員はお喋りに夢中で、まったく私の存在に気づいていない。すいません、とこちら側から声を掛けるとようやく気づき、私はコーヒーを注文した。無愛想に会計を済まされると、「ありがとうございました」の一言もなく、コーヒーを差し出してきたのである。しかもコーヒーの量がいつもより少ないのである。私はクレーマーじゃないので、何も言わなかったが、非常に腹立たしかった。
上記のような経験をしたのだが、これはマクドナルドの接客レベルが非常に高いから、より目立ってしまったのかもしれない。また、この件で「マクドナルドにはもう二度と行かない」とも思わなかった。マクドナルドが今まで培ってきた信頼をおかげであると思う。
「QSCに限界はない」という言葉通り、マクドナルドによって、これからも私の欲求が満たされることを期待している。
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ハンバーガーの教訓 消費者の欲求を考える意味 を読んで
小森万莉子
私がこの本を読んではじめに【私は今、恵まれた環境で学んでいるのだな】感じました。
たくさん失敗をさせてもらい、たくさんの技術や知識を教えてもらえ、現場主義などを体現できるこの環境は、社会に出てしまったら当たり前でなくなってしまいます。
この環境に改めて感謝し、『20代は学ぶとき』ですので、マーケティングのことはもちろん、社会のことや多角的な考え方などいろいろなことをしっかりと学びたいです。
当たり前のことを見失ってはいけないと思いました。
また、原田泳幸氏は当たり前のことを大切に出来る方でした。
マクドナルドを再建するために、QSCの徹底という飲食業を経営するうえで当たり前のことを徹底的に行ったことが成功のカギだったそうです。
もちろんこれは新しい戦略ではなく、従来から基本としていたことに過ぎません。
原田氏が違っていたのは、それを徹底するということです。
マクドナルドの基礎がQSCであるので、それをおろそかにした応用などありえない、
QSCこそがマクドナルドらしさと考えたからです。
基本の大切さ、またその徹底の難しさを感じました。
当たり前のことを徹底してできるというのは、逆に特別なことになるのだと思います。
よく「やれば出来るのにやらない」という子がいますが、私はそういった態度はあまり好きではありません。「やることができる・努力することが出来る」というのが一番の大切なことだと思うからです。
私も、何事においても基本・基礎といった面白味のない作業や練習をきちんと徹底して出来るようにしたいです。
また、マクドナルドは『消費者の欲求を考える』ということも徹底しています。
『消費者の欲求を考える』といってもシニア層に向けた商品を作るのではなく、マクドナルドらしさを常に出した商品を出しているのも成功の理由のようです。
健康ブーム、特に「スーパーサイズミー」という映画でマクドナルドが問題になっているさなかにメガマックは発売されたのを覚えています。
当時はびっくりしたのですが、メガマックが成功しているのは春合宿で習った本音ニーズに基づいているのかなと思いました。
さらに、人は「正しいこと」が何かはわかっていても、「やりたいこと」を優先してしまうのだとおもいます。例えば、悩んでいるときには「正しいこと」より気持ちを察したことを言ってもらえたほうが嬉しいようにです。
【人の心に添ったことをする】というのが一番の『消費者の欲求を考える』ことになるのだと思いました。
私もメガマックのような人間になりたいです。
『最近寒くなったね、もうグラコロの季節だよーあれから一年たったんだね!』
『一年早いねーそろそろまたみんなでマック行かなきゃね!』
友達とつい最近こんな会話をしていたので、私も見事にマクドナルドの戦略にはまっていたのだとびっくりしました。
次にマクドナルドに行ったときには今までと違った見方を出来そうで楽しみです。