HCのPBはブランドたり得るか?(講演録)

 去る7月24日、21世紀HC経営研究会で、「HCのPBはブランドたり得るか」という講演を行った。めずらしく、講演準備に七転八倒の苦しみを味わった。


過去の業界データ(PB比率)を集めたり、関係者(某HC社の常務や雑誌編集者)に何度となく取材を繰り返しての講演だった。 依頼主の大山健太郎社長に、絶対に恥をかかせたくなかったからである。
繰り返しての準備のおかげで、寝る時間を削ったりもした。眠っていたら目が覚めたこともあった。講演の結果は、今回も例によって、<Research&Reports>にアップしてある。講演録の編集が上手だったこともあり、出来映えが非常によい。論旨が説得的・論理的である。自分をほめたいと思います。講演の項目のみ乗せておきます。
 
 ■ ブランドとは何か
 ■ 着物の“やまと”に見るブランドづくりの本質
 ■ ホームセンターにおける海外調達品
 ■ 欧米小売業でなぜPB商品が普及したのか
 ■ PB商品導入の成功条件
 ■ ホームセンターのPBがブランドであるために

 (結論)
 これまでの話で、結論は4つあります。ホームセンターのPBがブランドであるためには、この4つの条件が必要だと思います。
 一つは、PBは店舗差別化のための強力な手段であるということです。もう一つ加えると、同質化競争を避けるためのPBづくりが必要です。逆に、PBをつくったために同質化競争が始まったら、PBの意味は全くなくなります。
 2番目は、低価格志向のPBであってはならないということです。世界のトレンドもそうですが、既に80年代、90年代のアメリカとイギリスで結論が出ていますので、長期的にはプレミアムを目指すことが重要です。DIY商品、園芸商品などでプレミアムPBを目指すべきだと思います。
 それから3番目は、独自性のある分野に特化すべきということです。先ほど何屋になるのかという話をしましたが、自社が出てきたDNAがしっかりと生きるような分野に特化すべきだと思います。あらゆるところでくまなくPBを開発するというのはほとんど意味がありません。商品力、開発力、市場地位(STP)が成り立たなければならないし、短期利益志向は成功しないと思います。
 最後に、調達先との長期的な関係づくりが必須です。ベンダー、あるいは産地、それは海外でもいいのですが、調達先との長期的な関係づくりが必須条件です。長期継続的に供給されないものはブランドとは呼べません。
 1番目、2番目はすぐにおわかりかと思いますが、特に3番目と4番目が成り立たない条件の中ではホームセンターでPBを開発するのはほとんど意味がない、つまり長期的に企業の成長と収益には貢献しないと思います。