あと4日で(10月23日に)56歳の誕生日を迎える。同僚の田中洋先生と今年になってからの話題は、5年前、心臓病で突然亡くなった橋本寿郎(元経営学部)教授のことである。
田中・小川は、ふたりともウサギ年である。目が悪いのも共通である。そして、今年、橋本さんが逝去した55歳に手が届くことになった。ふたりしていま、その際を越えていこうとしている。やれやれである。今週末、日曜日のレース中に(世田谷ジョギング)、道端で倒れさえしなければ、「じゅろさん、55のハードルは越えたよ!」と橋本さんに報告できるはずである。
結婚まじかの女性が襲われる心理的な症状に、「マリッジ・ブルー」(結婚うつ病)がある。重症の場合は、結婚そのものをキャンセルする例も少なくない。そんな言葉(バースデー・ブルー)があるのかどうかは知らないが、ある年齢をすぎてから、誕生日が近づくと、わたしは気分がどんと落ち込むようになった。40歳の後半からである。「誕生日うづ病」と自分で勝手に呼んでいる。明らかにこの症状は、肉体的な衰えと関連がある。それだけではなく、やり残した仕事と自分の能力を比較して、絶望悲観するようになったからだろう。と、わたしは自分の心理を分析している。
わたしは元来、欲張りで完全主義者の面がある。その性格が、バースデー・ブルー症状を引き起こす一番大きな要因なのだろう。実は今年は、「ブルーの症状」がとても軽い気がする。それは、自分の能力と達成のハードルの落差を認めて、結果に関してはある種の見切りをつけたからだろうと思われる。自分のことではあるが、55歳を境に、バースデー・ブルーからは解放されるような予感がする。思い当たる節がひとは、わたし以外にいるのではないだろうか?同類たちの体験談を聞いてみたい気がする。