今週の土曜と日曜(25-26日)に、毎年恒例となった園芸売場での店頭面接調査を実施する予定である。
ホームセンター2社にご協力をいただき、ケーヨーD2「白井店」とドイト与野店「花の木」では、朝10時からゼミ生が調査員となって、ガーデニングに関するアンケート調査が行われる。
いつもならば、園芸用品を購入してくれた買物客に、レジ清算後に謝礼を渡してひとり3~5分のアンケートをお願いするだけである。今年は、筆者の気まぐれから(実は例年になく調査員数が多いので余裕ができたので)、園芸店の店頭調査に趣向を凝らしてみることにした。継続的に実施している「アンケート調査」と並行して、当日は「ストーカー調査」(筆者の命名)を実行することにした。
「ストーカー調査」とは、警察や探偵などが犯罪捜査や不倫調査のために行っている「尾行」を、消費者の買い物行動の観察に応用したものである。このHPでも紹介したアンダーヒル著「なぜこの店で買ってしまうのか?」では、店舗に対して売場レイアウトや陳列、品揃え商品の改善提案をするために、来店客の行動をこと細かに記録するのに用いられている。むかしから、日本でも一部の調査会社が、メーカーの依頼で小売店頭で観察法を実施してきたことが知られている。
筆者もかつて、T社の社員(MBA学生)に、大衆薬のセルフ売場の棚割りを企画設計するための方法として「観察法」を勧めたことがある。数年前には、東京ドームの社内研究会(プロジェクト研究)で、あるショッピングモール(東京東地区)にストローラー(乳母車)を引いて来店した顧客(若い主婦)がショッピングセンター内をどのように移動しているのか、その実態を調べるためにストーキングをさせたことがある。また、オーガニックスーパーの「マザーズ藤が丘」では、アンケート調査、通行量調査、ストーカー調査を同時に行うという離れ技をやった。これは、調査報告書が残っている、業界ではテキストケースとして評判になっている(「法政大学産業情報センター」から有料で入手可能)。
さてさて、今回の調査結果などは週明けに報告するとして、調査員の学生たち向けに、ストーカー調査の心得をいくつか述べておくことにする。
(1)背後から追尾しないこと:
尾行は、「尻尾を追いかける行為(追跡)」である。ところが、観察対象者の警戒心を解くためには、あるいは、見られていることに気づかせないようにするためには、尻っぽを追いかけてはいけない。われわれの背中には、気配を感じとることができる「3つめの目」がついているからである。ひとは背後から視線を感じることあるので、追跡観察は、絶対に側面から行うようにすること。横につけている人間には警戒心を解くはずである。
(2)情報技術を活用すること:
東京ドームの仕事でストーカー調査を思いついたとき、ちょうどカラー携帯電話が普及しはじめたころであった。さまざまな機能が利用可能になったので、記録装置として、あるいは、連絡道具として、追跡の仕事に携帯は役に立った。携帯には時計もついているし、メモリー機能もある。電卓として計算機能を持っている。広域調査で追跡行為に使うのであれば、GPSツールとしても利用ができる。
(3)チームで働くこと:
バスケットボールやサッカーの防御体制としては、「マン・ツー・マン」と「ゾーン」によるディフェンスがある。ストーカー調査は、基本的には「ゾーン」と「マンツーマン」方式を組み合わせて行う。理屈を言うまでもないことであるが、追跡の効率を上げようとするならば「マンツーマン」がよいが、警戒心を持たせないためには「ゾーン」を優れている。また、被観察者は、飲食店に入ったりトイレに立つこともあるので、最低ふたりで「チーム」を組んでおかないと、調査対象者を見失ったり、大事な記録を忘れたりすることがある。
(4)その他
今までの調査で、見つかってしまったことはないが、ばれてしまったときは素直に謝ることである。そこで調査は終わりになる。さて、実際には、探偵さんはどうしているのでしょうか?