【予言】ワークマンのいまは、1999年当時のユニクロと酷似

 一週間前の9月1日に、東京国際フォーラム(地下E2)で開かれた「ワークマン秋冬製品発表会」を見に行ってきた。会場では、サリーさんご夫妻や大屋さん、いく子さんなど、知り合いのアンバサダーの方に挨拶をされた。林広報部長からの情報によると、インフルエンサーの方など、総勢で1000人近くが会場に来ていたのではないだろうか?

 わたしの訪問目的は、書籍出版のアイデアを拾うためだった。会場ステージで一番聞きたかったのは、土屋哲雄専務の「中期戦略」のプレゼンである。土屋さんの30分余りのトークは、いつもながらお見事だった。その後、モデルさんによる新作のミニ・ファッションショーが続いた。
 土屋専務の戦略発表の骨子は、最初のスライドで簡潔に理解できた。①人気製品10倍生産、②製品開発~販促、売り場づくりの連動、③大型物流センターの稼働、④ワークマンアプリのスタート。この4つはそれぞれ関連している。

 土屋さんのプレゼンの骨子は、2枚目のスライドで明らかだった。ビジネスモデルの見直し(=大幅な路線変更)である。曰く、「ワークマン45年ぶり(創業から始めて)の本気!!!」。パワフルなすごいプレゼン!
 つまりは。在庫不足・欠品による「顧客満足(CS)が地に落ちた状態」の解消である。そのために、①~④の施策を打ち出している。その決意表明である。
 新しく狙って発売する製品ラインは、4つのカテゴリーだった。中でも2つのカテゴリーが最も有望と思われる。①世界初の断熱ウエア(X-Shelter)、②リカバリーウエア(MEDHEAL)。どちらも人気製品になりそうだが、わたしが注目したのは、②リカバリーウエアだった。
 
 この製品ラインは、ワークマンで数年前から販売が始まっていたものである。「リカバリーウエア」とは、建設業などハードな環境で働くプロ職人のための疲労回復ウエア。着用する衣料に特殊な鉱石が練り込んである、Tシャツやパンツがそれにあたる。
 わたしも長袖のシャツを一着いただいて、リカバリーウエアを着用してみた。パジャマのように、シャツとパンツを着て眠ると、目ざめが快適になる。実際、疲労回復の効果があった(ように思う)。リカバリーの理由は、衣料に練り込まれている特殊鉱石(粉末?)が、わたしたちが発する遠赤外線を反射して、カラダを温める効果などのようだ。
 一般医療機器に分類される衣料品である。通常のメーカーから販売されているウエアは、値段が1万円近くするらしい。ワークマンでは、シャツとパンツの上下で3800円。市価の半値以下である。ちなみに、効能としては、①疲労回復、②血行促進、③筋肉のハリとコリの緩和、④筋肉の疲れを軽減、とある。

 ところで、リカバリーウエアを着用してみて効果があると感じたので、早速、9月1日にサービスがはじまったアプリをダウンロード。同居している義理の娘とかみさんに、上下セットでプレゼントしようと思った。ところが、アプリに登録されているルームウエア(上下)が、都内のほぼすべての店舗で欠品になっていた。買えないのである。
 土屋さん、林さん! 約束がちがうじゃないですか! というわけで、林部長に半ば呆れて、実際のところを尋ねてみた。林さんからの返信は、「在庫を増やしてはいますが、あまりの人気で欠品してます。もう少しお待ちください!」とのこと。
 土屋専務の宣言「人気商品をこれまでより10倍生産、欠品しないよう在庫を持ちます!」は反故にされている。従来は、ワークマンの基本施策として「多品種少量生産」に徹してきた。そのため、人気商品は欠品が当たり前。
 アプリがない状態では、店舗に行くたびにこれが繰り返されてきたので、来店客のCSが大幅の低下。そのため、今度から「それがワークマンだ」という考え方を根本から変えることにした。土屋専務は、大型センターを稼働させて、大量生産で在庫リスクを取る方向へ舵を切ることにした。

 ここまで来て、読者は、わたしが何を言いたいかわかったはずだ。1999年から2001年に掛けての「フリースブーム」のとき、ユニクロの店頭ではフリースが品薄になった。しかし、2年後にブームは去って、柳井さんは大量の在庫と売り上げの低迷に苦しんだ。年商4000億円から一挙に3000億円へ。そして、当然のことながら大幅な減益。
 リカバリーウエアは、25年前にユニクロの歩んできた道をなぞることになりそうだ。そして、その後もワーマンでは、新しいカテゴリー(ユニクロのヒートテックやエアリズムなどに該当)がいくつか登場する気配がすでにある。
 ワークマンのビジネスモデル(高機能・低価格)は変わらず、生産体制とマーケティングに変更が加えられるだろう。出店政策はすでに変更されてきている(路面店からモール出店)。ワークマンに、2度目のブレークが起こりそうだ。ユニクロと違うのは、戦略の基本方針が明確になされている点だ。
 わたしの予言は、売上3000~5000億円は、案外と短期間で実現できそうだということだ。
 株価は?(冗談で、、、) ユニクロの歴史を見てみれば、おそらく5年後に、2~3万円に。 

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