昨日(3月3日)、偶然にも『日本経済新聞』の「経済教室」(2025年3月3日、冒頭の画像参照)で、「日本人は今こそ目覚めるべきだ」という投書を見つけた。「私見/卓見」というコーナーで、書き手はジョナサン・マルボー氏(米グランドアライアンスCEO)だった。
実は、彼の呼び名(ニックネーム)は、ジョンさん(「かもめのジョンさん」と覚えた)である。知日家で日本語が達者な方である。数年前に一度、知人の紹介で、ジョンさんとは神戸のホテルでランチをご一緒したことがあった。日経新聞にコラム(日本人は今こそ目覚めるべきだ – 日本経済新聞)を投稿しているとは、ちょっとした驚きだった。
彼は、ハーバード大学(国際政治学)とコロンビア大学(法学博士、MBA)の卒業生だ。日本での仕事は、優れた製品・サービスを世界中の国々に紹介すること。もちろんビジネスマンだから、グローバルな製品導入が仕事になる。いまは日本と米国を2拠点で往復しながら、国際的なビジネスチャンスを発掘することを仕事としている。
ジョンさんが来日したのは、1993年のこと。日本の製品技術とコンテンツにグローバルな通用性があると信じて、1996年からは日本企業(パナソニックの知財部門)で働き始めた。キャリアとしては、大学院を卒業した後、弁護士事務所(レイサム・アンド・ワトキンス)から金融業界(リーマン・ブラザーズ、クレディ・スイス、ドイツ銀行など)に転じている。
現在は、彼自身の会社(米グランドアライアンス)でCEOを務めるほか、複数の会社で顧問や役員を務めている(詳しくは、彼の日本語のウイキペディア(ジョナサン・マルボー – Wikipedia)を参照のこと)。
彼は東京都(東京観光大使)と組んで、「日本発の良きもの」を世界に売り込むことを仕事にしている。未発掘の優れた日本製品やサービスが海外で通用することを、日本人はあまり気づいていないというのが、彼の主張である。そこにあるだろう未開拓のビジネスチャンスを彼は探している。
日経の記事の中で、分断の時代における国際政治のバランサー(仲介役)として、ジョンさんは日本の中立的な役割に期待している(記事を参照)。一方で、本業の国際ビジネスでは、日本文化をベースにしたモノづくりの技術とコンテンツ創造力を高く評価している。「いまより以上に、日本人はビジネスを通して世界に貢献できる」と、食事の席で熱心にジョンさんは話してくれた。
そう考えると、コロナ後のインバウンド需要(電車のドアを塞ぐ大きな荷物にはうんざりだが)は、一過性のものではないかもしれない。彼の主張が正しいとすると、世界に羽ばたく企業戦士の立場からは、「まあ今風に言えば、トランプ関税みたいなもので、これは致し方がないのかな?」とわたしも思い直している。
コメント