大学時代に同じゼミに所属していた伊藤忠商事の岡藤正弘くんが先日、ヨーカ堂創業家のMBOスキームから撤収を表明した。岡藤君は眼鼻の利く人間だ。買収後の収益性が怪しいところに持ってきて、船頭が多くなるから自分のコントロールが効かなくなるからだろう。
それに続き、本日は注目すべき記事がネット(配信)を賑わしている。セブン&アイにもはや選択肢がなくなったところで、「とうとうそうなるのか!」という印象の記事だった。井阪社長退陣の報道を見て、あまりの惨劇に目を覆いたくなった。わたしの希望は、せめて日本人のプロ経営者を探してきてほしかったからだ。
午前中に、セブンは井阪さんの首を切って、社外取締役のデイカス氏への社長交代を発表した。しかし、このデイカス氏なる人物は、ファンドからの依頼で西友のトップ(CEO)に就任した過去がある。西友の立て直しに失敗している人物だ。その後、2022年からセブン&アイの取締役会(特別委員会)の議長に就任している。
今回、カナダからの手紙に返答する責任者の立場にある。一方で、セブン-イレブンの創業者、鈴木敏文さんを放逐したダブル伊藤さん(創業家と社外取締役)と、立場的には近いのではないのか?なぜなら、2022年になってから、セブン&アイの社外取締役になっているからだ。
米国のコンビニ事業を立て直すために、セブンのトップに選任されたとの記事も見受けられるが、セブンを外資に売り渡す準備にしかならないのではないか。セブン&アイは組織丸ごと、バラバラに解体されかねない。
日本の貴重な資産が、またしても失われてしまう。もはや手遅れになってしまった。わたしの予言通りになりそうだ。早晩、セブンはローソンとファミリーマートに追い超されてしまうだろう。というか、セブンは今、先の見通せない五里霧中の状態にいる。
それにしても、セブンの執行部はどうして、このような選択肢をえらんだのだろう。ファンドと組んでセブンを解体し、分割した部門を国内と海外に仕分けするつもりなのか?
伊藤忠頼みだった創業家によるMBO案件が、先週末に消えてしまった。カナダの会社は、米国のセブンーイレブンを安く買い叩くことができる立場にある。日本に事務所を開設したのは、セブンの解体が想定できたからだろう。
この手法は、ハゲタカファンドが採用してきた手法そのものである。事業的に弱っている相手の足元を見て、M&Aで安く買う。その後は、業績がよろしい日本の小売業(PPIHやトライアル、ロピアなど)に高く売りつける。
セブンは今後、適性がなかった経営者を選んだツケを払うことになる。社員やオーナーたちが可哀想だ。だが、彼らも30年間はいい思いをしてきたのだから仕方がない。ベンダーやメーカーさん、一部は加盟店に対して、強圧的な態度で殿様商売をしてきたからだ。業界の皆さんが指摘してきたことだ。
日経新聞の記者の誰かが言っていた。「自業自得だろう」と。
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