米沢からは、山形新幹線のつばさ号だった。大宮駅で乗り換え、長野新幹線あさま号で佐久平に向かっている。連日の長距離移動である。3日連続、600~700キロの移動であるだ。いまさっき、つばさ号の中で、サプライズがあった。
昨秋、東根さくらんぼマラソンを走った。帰りの車内で、お弁当を買った。残念ながら、どまん中だった。そのときと同じ販売員さんと、目があったのだ。ネームプレートをちらっと見ると、伊藤ありささん!
まちがいがない。山形新幹線のカリスマ販売員、斎藤泉さんのチームの方だ。よく似ている。目がぱっちりしていて、愛嬌のあるかわいい顔立ちである。
驚いたことに、彼女のほうでも、わたしのことを覚えてくれていた。一年前に一度乗車しただけである。なぜなのだろう?斎藤さんの取材のことを話したはずはないが。
熱いコーヒーを頼んだ。300円である。昨日のはやて号に比べて、カートに積んだ荷物の量が倍はある。売る気が十分と見える(笑)。斎藤さんの指導によるものなのか。
つばさ号の東京チームは、松川弁当店の競合店、新杵屋の人気駅弁「牛肉どまん中」を販売している。
わたしが松川弁当店の試作品を抱えているので、伊藤さんは不思議そうに手元を覗き込んでいる。お箸が松川弁当店だから、わかるのだろう。余計な説明はしなかった。
今日は、まる一日かけて、工場のキッチンで、10人ほどで、試作品を作っていた。松川弁当店は、料理長、開発担当者が学生チームにつきっきりである。
ふだんあまりキッチンには入らない林社長も、今日だけは、ピーマンの調達や肉の吟味まで手伝ってくれた。こんだけたくさんのメディアが、いっぺんに入ったことはないだろう。
結局は、芋煮を主体にした、3つのパターンのプロトタイプの試作を行った。味付けを違え、切り方を変えて、牛肉の部位を選んで、量目と原価を考える。暫定品をテレビ局が、学生と社長にインタビューしながら、カメラを回す。
夕方からは、山形放送と山形テレビで、学生達と林社長のミーティング風景と作業現場の様子が放映されているはずである。共同PRからは、DVDが送られてくる。
朝日新聞は、全国版に来月に掲載。読売と毎日は、ローカル版に掲載される。山形新聞は、明日の朝刊に、「法政大学と松川弁当店のコラボ記事」が掲載されることになっている。
最終まで残った二つの弁当案の写真を、メールに添付して何人かに送ってみた。学生達の選択と皆さんの評価は、同じチョイスだった。学生も5対0、メル友達も5対0(2引き分け)だった。
「おいしそう、いますぐ食べてみたい」、「お値段は、1050円までにしてもらうとうれしい」、「見た目にとてもキレイです。芋煮も色がいいようにみえます」など、好意的な反響ばかり。
ひとりの方からは、「わたしのお弁当は?」という大胆なメール。それには、「今回は実際に販売まで行きますよ。10月から二ヶ月。毎日100食限定。東京駅で販売します」と答えておきました。買ってくださいね。
いまの時間は、林社長と学生達が、値段と弁当の名前、キャッチコピーは作成中である。原価は、450円くらいだろう。本来は、倍掛けして小売りでは1200円で売りたいところだ。「1050円かな」が林さんの判断だった。問題は、弁当の名前である。
「学生さんたちといま別れました。原価の見積もりは、小川先生の予想通りです。名前は、あした決めます」。林さんからの返信メールでした。