満天の星空@滑川温泉、福島屋から

 「わー~、きれい!」。貸し切りの露天風呂から歓声が聞こえる。女の子たち4人が、見上げた空に横たわる天の川に感激してあげた声だ。激しい雨音のような滝の音が、窓の下から上がってくる。学生達6人と、米沢から車で1時間ほどの山の中にいる。



 滑川温泉、福島屋。日本の秘湯の中でも、まれにみる泉質のよい温泉だ。檜の露天風呂で、満天の星空を見上げているのは、ゼミの松川弁当班である。
 男子2人は、わたしと一緒に屋内の混浴風呂に入っている。リーダーの長田たち、女の子4人組は、私たちがいる混浴を避けて、外の貸し切り風呂に出ていった。

 「啄木の里ふれあいマラソン」@渋民村(現、盛岡市渋民)は、関門ぎりぎり、2時間14分49秒でようやくゴールした。あと11秒遅れると、アウトだった。
 13時半のバスで、大会会場から渋民駅まで。運転手さんに頼んで急いでもらった。盛岡駅行きの電車は、13時37分に入線する。発車まであと7分しかない。信号が一個もない田舎道。啄木が歌った故郷の美しい風景だ。その道を5分で、送迎バスは疾走してくれた。
 いわて銀河鉄道で盛岡までは17分。さらに東北新幹線を乗り継いで米沢に向かった。

 わたしが合流する前に、学生達は松川弁当店の林社長と打ち合わせを終えていた。先程までは、米沢牛の焼肉屋「いろり」で、弁当試作前の勉強をかねて、食事をしていた。
 明日、健康診断があるという置賜農協の渡部さんを、無理矢理に呼び出してしまった。まあいいだろう。このプロジェクト、米沢駅弁の新商品開発、影の功労者だ。
 学生達は、普段は食べることがない、サシが入ったおいしい米沢牛をたらふく食べさせてもらった。「いろり」は、味噌ダレを使った焼肉店である。福島飯坂まで行くお弁当と一緒に、宿までのせてもらった。その直後の秘湯体験である。

 明日は、山形放送と朝日新聞が来る。いも煮弁当の線は固まったが、具体的な具材やネーミングなどは、明日の課題である。漆黒の闇のなかで、夜は暮れていく。猿やクマや、カモシカがいる森の中で、人間たちも静かに眠る。