【巻頭言】「成人式の活況:ブームは地方から都市へ」『JFMAニュース』2025年1月20日号

 先週の月曜日(1月20日)に、「青山フラワーマーケット」の井上英明社長と会食する機会があった。元院生で起業家の小平裕君を井上さんに紹介するためだった。新橋のお店に着くなり早々に、井上さんがスマホを取り出して、青フラの売上データを読み上げ始めた。

 今年の成人式は、会食の1週間前で、1月13日だった。やや興奮気味に井上さんが読み上げたデータは、今年の成人式の日の昨年対比の数字である。「先生、先週の成人式の売上ですけど、例えば、A店155、B店168、C店142、D店152、E店138、、」。都内各店舗の売上の昨年対比を、井上さんが次々と読み上げる。軒並み、昨年対比で140%を超えている。

 「花が売れなくなったと皆さん言ってるけど、この数字をみたら、まだまだお花には可能性があると思いません?」と、同席していた3人の前で井上さんが締めくくった。

「成人式の日の売上が増えて、母の日を抜きそうになっている」という話を、数年前に「花恋人」(本社:奈良県)の野田将克社長から聞いたことがあった。野田さんの店でも、成人式の活況は継続しているかどうか? 確認のため、野田さんに連絡とってみることにした。

 以下は、「その後の成人式の様子を教えてください!」というわたしのメールに、野田さんが返信してくれた、「花恋人」の成人式の店舗情報を要約したものである。
 <売上は5年で約5倍> 成人式で花が売れるようになったのは、2018年から。橿原本店の成人式の売上は、前年比で2021年までは毎年約130%。2022年150%で2023年以降は横ばい。成人式の売上は一日30万円で推移していたのが、2022年に120万円になった。

<その後の店舗での対応> 売れると気が付いてからは、全店でカタログ製作、予約販売などの販促に力を入れるようになった。2022年に「TIKTOK」を立ち上げて以降は全店で売れ始めた。今年は関東エリアで、従来110%程度の伸びが140%~160%で伸びた。

<成人式が母の日の売上を超える> 成人式で売れるのはほぼ生花。「生花の売上のみで比較すると、全店合計で今年は『成人式>母の日』になりました」(野田さん)。

<成人式の活況が地方から都市部へ> 「成人式は地元に戻って開催されるため、地方で先に盛り上がり売上が伸びた」(野田さん)。今年から、地方から都心へと広まり出した。従来とは逆の広がり方を見せたのは、やはりSNSや動画の役割が大きいようだ。

<成人式で売上が伸びた理由> 「コロナを経て、家族の大切さ、身近な人への感謝を再認識することで、両親、祖父母、お世話になった人から貰う。それとは逆に、生んでくれた両親に贈るギフトの連鎖が起こっていると考えています」(野田さん)。

 <SNSなどのメディアの貢献> 成人式の売上急増は、SNSの画像や動画などが起点になっている。成人式の写真では衣装と花がセットのため、花が必需品になっている。野田さんによると、「毎年花束が大きくなって見栄えするようになっています」。ちなみに、花恋人では、2018年の客単価3000円が、現在は1万円を超える客単価の店もあるという。

 最後に、その他の物日と比べて全店の生花で比較すると、花恋人では、「①成人式、②母の日、③卒業式、④ホワイトデー、⑤敬老の日、⑥バレンタインデーの順になっている。野田さんの印象では、「若い方の花贈りが習慣化しています」である。

 

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