昨日、ローソンの2025年度第一四半期(2024年)の決算発表がありました。セブンは2日前の発表でしたが、翌日(昨日)には、セブン&アイの株価が、1日で6.5%下落しました。株価は、一挙に1940円から1814円への転落でした。
予想以上の大幅な減収減益です。従来は、国内外ともにコンビニ事業の好調が伝えられていました。しかし、いまや国内外ともに、コンビニの事業が大不調です。総合スーパーのイトーヨーカドーは、地方だけでなく東京でも、店舗の閉鎖が進んでいます。食品スーパー事業も波乱含みです。
コンビニ市場の競争については、従来とは全く逆の現象が起こっています。
セブン-イレブン一強だったのが、いまやセブン一弱の様相を見せています。ファミマもローソンも、この3か月間は業績が悪くありません。ローソンにいたっては、盛りすぎキャンペーンの効果で絶好調です。
昨日の昼過ぎに、ローソン広報部からわたしのところに、四半期決算に関する情報がありました。
「15時の決算発表資料は後ほどメールいたしますが、当社第一四半期日販は559千円で、セブンさんは679千円でした」。
以下は、わたしの試算になります。
前回(2023年度通期決算)では、ローソンとセブンの日販は、13.5万円の差がありました。わずか3ヶ月で、その差が1.5万円ほど縮まりました。1ヶ月では5千円です。一年間(12ヶ月)で計算すると、年間で6万円に相当します。
今や日販格差は、12万円になりました。単純計算で、3年以内にローソンはセブンを追い抜くことができます。かつてわたしが予言した「ローソンがセブンを超える日」(『新潮45』2017年春号)が、目の前に迫って来ています。
7年前にセブン-イレブンは、実質的な創業者の鈴木敏文さんを、権力の座から追い落としました。創業家と社外取締役が、取締役会で鈴木さんを外したからです。そして今回は、創業者の貯金を使い切ったことが明らかになりました。
セブン&アイグループで唯一の収益事業が大きく揺らいだことで、セブン内部では動揺が走っています。海外ファンドからのプレッシャーで、鈴木さんの時代にM&Aした百貨店や専門店チェーンなどを、将来の展望もなく次々と売却してきました。
将来の展望が見えないところに、今回のコンビニ部門の大幅な減収減益です。セブンとしては、打つ手がなくなっています。経営陣の判断ミスで、大切な未来のための資産を切り売りしてきたつけがここに来て出ています。
組織の混乱と誤った意思決定の連鎖が、日本で2番目に大きな流通グループの未来を台無しにするかもしれません。近い将来において、ローソンとファミマに、セブンが後塵を拝する日がやってきそうです。
筆者は、「日本のコンビニの父」と呼ばれている鈴木敏文さんを尊敬しています。自分に矢を放ったかつての部下たちの失態を、鈴木さんはいまどのように眺めているのでしょうか?
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