【柴又日誌】#176:番号違いから、誤送信メールの顛末。

 一昨日(6月15日)のことである。コンビニのローソンは、来年50周年を迎える。ローソンの出版企画の件で、出版社の編集者にメールをした。原稿の進行状況を説明するためである。
 PHP研究所の三宅晃生さんに、連絡のためのメールを送った。「電話しても大丈夫な時間を知らせてほしい」という問い合わせのメールをスマホから送信したつもりだった。
 13時44分に送信したのだが、2時間が経過してもメールが戻ってこない。
 

 その後で、企画書籍の「第2章 美容師さん、コンビニのオーナーになる」という8頁ほどのドラフト(V7.1)を送ってみた。テキストは何も送らず、添付ファイルのみである。今度の送信時間は、16時25分。
  この添付メールには、すぐに反応があった。

「人違いです。間違えていらっしゃいます」と短いメッセージ。
「あれれ?すいません。なんでだろう」とわたしから。
 そのあと、驚きのメールが飛び込んできた。  
「いえいえー! 業者の方かなと思ってちょっと番号検索させて頂いたら、法政大学の教授をされていたんですね! 私も法政出身なので少し嬉しくなってしまいました笑。
 添付の中身は見ておりません。ご安心ください」。
 電話番号検索をして、わたしの素性がわかったらしかった。

 いつものように、慌ててしまい、わたしが番号を誤入力したらしい。
「三宅さんではなかったのですね。失礼しました。
 学部はどちらですか? わたしは、経営学部の教員でした。その後は、大学院です。
 ちなみに、このメールは、PHP研究所に送ったつもりでした。多分、わたしの番号まちがいです。中身は、開けてもよろしいですよ。
 来年発売予定の『ローソン、挑戦と革新』の第2章の半分までのドラフトです」。

  番号違いを指摘されたので、先ほど「三宅さん」だと思って入力した電話番号を確認してみた。
  たしかに、4桁目の「1」を「4」と誤入力している。090-✕✕✕1-×××××。 せっかくの間違い電話。出身学部を尋ねてみようと思った。 すると、その先のメールで、驚きの事実が明らかになった。
「人間環境学部出身で、4期生でした!
 現在は教授はされていらっしゃらないのですか?
 ドラフト版…貴重な物ですね。では折角なので拝読致します」
 逸れのメールに、番号違いを謝罪してから、
 「ドラフトは、出版社の編集者しか見られないこと」を説明した。
 そのあと、10分ほどやりとりがあった。

 わたしも送ったけれど、何通か丁寧なメールが戻って来た。
「定年されたんですね。長い間お疲れさまでした。
 当時は堀内先生と向井先生の自主ゼミに入っていました。
 環境経営を中心に学んでいましたよ。番号似てますね。
 発売されたものと見比べてみるのも楽しそうです」。
 そうなのだ、昔のことを思い出していた。
 ここ数年は、堀内さんのことをすっかり忘れていた。
 人間環境は、わたしが主任の時に、経営学部から亡くなった堀内先生に出向してもらい作った学部である。

「設立にわたしも絡んでいました。清成総長の時に、わたしが副学部長をしていないと、キャリアデザインと人間環境はできていなかったと思います。 小川孔輔と言います。元経営学部長です。
 しばらくやりとりが続いた。
「そうだったのですね! とても大好きな学部で有意義な4年間でした。設立して下さってありがとうございます。
 堀内先生の訃報を聞いた時はすごく悲しかったです」。
 最後講義に集まった彼女のゼミ仲間と、先生との写真が添付されていた。

 本日のことになる。わたしから、思いついてメールしてみた。 
「おはようございます。この携帯番号の間違い話を、ブログに書いてよろしいですか?
 もちろんお名前は伏せます。携帯の番号などは個人情報ですから、わからないようマスキングします。 慌てた勘違いから起こる、偶然ってあるのですね」
 彼女からは、午前中に許諾をいただいた。いまこうして、ブログに「誤送信メールの顛末」を書いている。

 遠い世界から、過ぎ去った時空間を超えて来たメッセージだった。 
 彼女には、さきほど、ペンネーム(小石川一輔)で書いた私小説『わんすけ先生、消防団員になる。』(小学館スクウェア)を郵便局から贈っておいた。誤送信の埋め合わせである。

 *スマホでの二人のやりとりは、若干編集してある。

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