少し前のことになる。インテージ主催の「CX(顧客理解)セミナー」(2024年3月7日)で、スカイマークのお二人に講演をしていただいた。わたしは、コメンテーターとして対談相手になった。スカイマークは、2015年に経営的な破綻している。
そこから、わずか3年で復活を果たしている。2018年に、顧客満足度(CS)ナンバーワン企業になった。わたしども設計したJCSI(日本版顧客満足度指数)で、2020年に航空業界トップになった。その後も2年連続でナンバーワンを継続している。本日のブログは、セミナーでの論点をメモにしてまとめたものである。
以下は、自分のためのメモである(*次回のスカイマークさんとの雑誌対談のための準備)。
<復習>
1 スカイマークは、2015年の破綻から、なぜ短期間に奇跡の復活を果たすことができたのか?
→ 基本コンセプトとポジションのチェンジに成功したから
LCCに近いポジション(競争の激化で業績が悪化)から、米国のサウスウエスト航空(シャトル便)に近いところに提供サービスを変えた。
コンセプト設計としては、「苦情は一切受けつけない!何もやらない(*不親切なサービス宣言)」から、「やらないことを明確に示す」(スマートなコンセプト)に。
2 その間(復活の3~5年間で)、スカイマークは何を実行したのか?
ソフト面:VOC(Voice Of Customer)、顧客の声に耳を傾けることで、必要とされるサービスを改善する。
ハード面:定時運航に注力する(オペレーション面での改善、定時性1位になる、95%以上)
PDCAサイクルを同時に回す:CSナンバーワンになるため、3つのPDCAサイクルを同時に回す仕組みを構築した。
その中心に置いたのは、お客様からの声(VOCマネジメント)。2018年からはじめて、毎日700件の回答(回答率3~4%)。
①デイリーサイクル:高速PDCAで、搭乗後アンケート調査(即日で回答を集計・内部共有)
②マンスリーサイクル:CSマネジメント会議とCX戦略プロジェクトで、課題解決と新規施策の立案
③イアリーサイクル:空港ごとにCSキャラバン(組織内コミュニケーション、弱い支店を活性化)
<事例からの学び>
1 顧客体験を可視化すること
「データ」(顧客アンケートとオペレーション実績値)と「目視」(現場観察)による複合的なCS評価
そのためには、支店(現場)に権限を委譲する(組織の自由度を高める)ことが必要だった。しかも、組織的に対応ができたこと。
小川のメモ:造語「DOA」(Data&Observation&Action)ができたこと
*楽しくなければ、仕事の満足度は高まらない(ESがCSの向上につながった)
2 課題として残されたこと
①スカイマークの良いサービス・イメージを正しく伝えることが
リピート客の増加につながる
②ターゲティング(どこを狙うのか?)
既存の顧客:若いノンビジネス顧客、20代~30代の女性
新しい顧客セグメント(良いサービスの存在を知らない)の発掘
40代~50代の顧客(増加傾向、将来のターゲット)
狙わないセグメントの特定
③新しい告知、高いCSや定時性を知らない顧客層
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