昨年の春に、京丹後の梅本農園を研修ツアーで訪問した。5月14日と15日のことで、わたしを講師に呼んでくれたのは、山本朝子先生のグループだった。苦手なバスツアーである(わたしはバスで車酔いをするのです)。
農園を訪問してから、わが家では、梅本農園の「てんとうむし畑」から、オーガニックの野菜セット(最初はMセット、老人2人家庭なのでいまはSセット)を宅配してもらっている。「月刊てんとうむし畑」という手書きのフライヤーが、野菜セットに同梱されてくる。「てんとうむし」というの冊子の由来は、てんとうむしが害虫を食べてくれるので、畑の益虫だからである。
てんとうむしのいる畑には、農薬は不要である。むしろ農薬が生態系を壊してしまう。そうした意味が込められている。
さて、「月刊てんとうむし畑」の今月号に、梅本さんのエッセイが載っていた。
題して、「野菜をつくらず、土を作る(その2)」。先月号(その1)から始まったシリーズだが、今月号(その2)では、昨年の5月14日に、わたしたちセミナー聴講者が梅本講師から畑で直に聞いた話の一部が載っている。
「野菜ができるために、土作りが大切だ」という趣旨の講義だった。てんとうむし畑では、土壌がどのように作れられているのかについて講義で聞くことになった。その内容をすべて引用すると長くなるので、ここではエッセンスだけを紹介する。なお、(その2)については、ネットで検索して全文を読むことができる(月刊てんとうむしばたけ便り(第109号) | Organic Cafe てんとうむしばたけ (tentoumushi-batake.com)。
大学で土壌学を専攻した梅本さんが、オーガニック農場を始めるときに最初にやったことは、有機物の塊である牛糞を、無機物たっぷりの花こう岩の砂礫に投入することだった。しかし、野菜の収穫時に、病気が蔓延してしまった。
反省点は、多量の牛糞で野菜を育てることは、「自然に反している」ということだった。ポイントは植物と動物の割合にある。たとえば、てんとうむし畑の周囲は、森で囲まれている。自然界では、たとえば、雉の家族は5haの森、タヌキは3haの森が必要なのだそうだ。
だから、栄養豊富な大量の牛糞は、逆に植物界と動物界のバランスを壊しているのである。というわけで、植物と動物の割合の塩梅で、土壌の中の植物を増やすことにした。実際は、河川敷から刈りとった草を集めてきて、土にすき込むことにしたわけである。
近代農業で健康な野菜が作れなくなり、農薬と肥料に依存するとこうなるという現象の意味を考えさせられる話だった。畑で聞いた話を、フライヤーで再確認した。
これから、先ほど届いた野菜ボックスをふたたび覗いて、新鮮な野菜を夕食で食べることになっている。本日のわたしのインスタグラムは、京丹後から届いたばかりの野菜が中心になるかもしれない。
コメント
無機と有機の自然界のバランスの重要性を教えていただきました。
大西さん この記事への返信を忘れていました。ありがとうございました。小川より