【感想文】拙著『青いりんごの物語』を読み終わると、RF1のサラダや神戸コロッケが食べたくなるらしい。

 友人や弟子たちから、読了後の感想文が送られてきている。その中から何点か紹介してみたい。特徴的なのは、岩田会長が築きあげたビジネスに関するコメントが際立って多いことである。狙い通りに受け止められている。実は25年ほど前、トヨタ自動車の商品企画部内に「小川ゼミ」が存在していた。

 

 その時の社員たちが、いまは海外事業部やトヨタ自動車の関連会社、あるいは傘下の販売会社役員として活躍している。わたしがトヨタ自動車の社内研修で指導に携わっていたのは、1990年代の前半から2000年代のはじめにかけてのことである。商品企画部や調査部、国内外の営業部門を巻き込んで、トヨタ自動車@名古屋(桜通り)で社内研修を担当していた。

 一方で、1990年代の後半から2000年代に前半にかけて、ロック・フィールドはトヨタ生産方式を静岡ファクトリーに技術移転しようとしていた。その頃のわたしは、トヨタ中央研究所や海外事業部(中国事業)の仕事に関わりをもっていた。また、2010年からしばらくは、子会社の日野自動車のCS推進室とJCSI(顧客満足度指数)を連動させる仕事で、全国にある日野自動車の販売会社を巡回視察していた。

 

 最初の感想文の2編は、トヨタ自動車の元商品企画部社員からのお礼状である。本人たちの許諾を得て、ここで紹介することにした。また3番目の感想文は、アマゾンに昨日から掲載されているものである。こちらは「えりん」とあるが、大手飲料メーカーに勤務している元大学院生のものである。

 どうやら、拙著を読んだ後は、RF1のサラダや神戸コロッケが食べたくなるようだ(笑)。アシスタントの林麻矢さんからも同様な感想をいただいている。

 

  

1 西内律子さん(トヨタ・コニック・アルファ取締役、元商品企画部所属)

 小川先生こんにちは。書籍改めてありがとうございました。拝読し、岩田会長が大切にし実践されてきたこが、今世の中で礎となっていることの先駆けであることに心底驚き・感銘を受けました。

 特に企業理念「健康、安心安全、美味しさ、鮮度、サービス、環境」を原材料から製造・販売の現場まで一貫した活動やトヨタ生産方式の取り込み方が印象深いです。

 前者は、地域が持続的な豊かさを保つために、企業市民として様々な局面で地産地消を支えることは、次世代へのバトンとして不可欠と思うのですが、それをRFさんが再エネ活用や保育など、何十年も前から実践されておられ感動します。
 また、トヨタ生産方式を生身のものを扱うことの複雑さ・制御の限界をバッファーで適する形に変容されたところも感慨深いです。今、販売店活動にカンバン方式を入れ、定期CR(車検やサービス入庫、代替提案)をより効率的に進める動きがあるのですが、定着の難しさを販売活動の更なる精緻化で何とかカバーできないかと問われることもあるのですが、販売も生身のお客様を相手にしているので、このようなバッファー方式が必要と感じてました。自分は対案なく思うだけにとどまっていたところに、実際に新たな制御方式を導入されていることを知り、本当にすばらしいと感じ、勇気もいただけました。

 全て小川先生の長年にわたる取材や深い信頼に基づく人間関係が迫力のある書物を生み出したのだと実感しました。素晴らしい書籍、改めてお礼申しあげます。
 余談ですが、この本を読んでいて無性に神戸コロッケとサラダが食べたくなり、昨日、近所の玉川高島屋で買って、息子と美味しいねーーと言いながらお昼を満喫しました(笑)。

 

 

2 豊田剛さん(神奈川トヨタ、元トヨタ自動車商品企画部)

 

 小川先生様

 おはようございます。
 すっかりご無沙汰しており、誠に申し訳ございません。

 この度は、49冊目の著書「青いりんごの物語」を、ご謹呈いただきありがとうござました。
 また、3月12日の最終講義をもって、いよいよ作家稼業へとご転身される事、おめでとうございます。

 「青いりんごの物語」ですが、2月22日に自宅に届きましたので、早速翌23日の祝日に拝読させていただきました。
 大変面白い内容で、また、読みやすく、昨日一日で、一気読みさせていただきました。

 

 ロック・フィールド様が、トヨタをベンチマークとし、トヨタ生産方式を、ロック・フィールド式に昇華させたことなど、今回初めて知り、大変驚きました。
 また、静岡ファクトリーのコンセプト「ロック・フィールドの変わらぬ思い」を切り出して言葉にされた北山孝雄氏は、私がTMC勤務時代から大変お世話になっております先生です。小川先生ご存じの藤本さん(現トヨタグループの国際経済研究所研究部部長)や西内さん(現トヨタグループのトヨタ・コニック・アルファ取締役)とも、一緒に仕事をさせていただいた間柄でしたので、意外な縁に驚きでした。
 大変面白い本をいただき、どうもありがとうございました。
 次回の作家転身第一弾で、先生ご自身の50冊目のご本にも、期待が膨らみます。

 (後略)

 

 

3 松尾英理子さん(サントリーコーポレートビジネス 東日本支社営業部長)

「えりん」5つ星のうち★★★★★(アマゾン書評欄に掲載済み)

「小説でもあり、ビジネス書でもある。一石二鳥な本。」

(2022年2月20日にレビュー済み)

 デパ地下や駅ナカでお馴染みのRF1など、惣菜事業を展開するロック・フィールド創業者の伝記的な物語が綴られている。

RF1の創業年は1992年で、偶然にもその年に社会人になった私は、時代と共に綴られる物語を読み進めながら、自身の生活や社会での変化を思い出し重ねながら一気に読んでいった。

 なぜ、RF1が創業から30年経った今でも私たちを惹きつけてやまないのか。読み進めながら、読後にじんわりとその理由が理解できた。

 経営学者である筆者と創業者との信頼関係があるからだろうか。事実と心情が折り重なるように描かれた物語は、ビジネスマンとして、リーダーのあり方へのヒントも満載だった。

 「青いりんごの物語」というタイトルは、読者に対して、いつまでも未成熟で大丈夫、目標を持ち生涯若々しくあり続けよう、というメッセージに思える。まさに筆者の生き方そのものなのだろう。

 日本の食文化がまだまだ進化する予感と共に、自分自身もまだまだ進化し続けたい、と背中を押してくれる一冊だった。
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