【本のランキング】二週連続ベスト2位@故郷の本屋さん(一長堂)で

 わたしは、エッセイスト(小説家、小石川一輔)としては、無名の新人である。はじめての私小説が、一般読者からどのように評価されるかが、かなり気になっている。経営学者としては、これまでは翻訳を含めて51冊の本を出版してきた。本屋の店頭やネット書店でのランキングがどうなっているのかについては、ほとんど気にも留めていなかった。

 

 新刊本が出たら、次回作に気持ちが移っていくからである。例外は、1991年に出版した『世界のフラワービジネス』(にっかん書房)である。この本は、わたしにとって初めての単著だった。そして、マーケティングではない新しいカテゴリー(花産業)を対象にした新分野開拓の本だった。

 当時は、アマゾンというネット書店の巨人は存在していなかった。記憶によると、販売データもすぐには入手できなかった。三か月くらいしないと、売れ行きが全くわからない状態だった。だから、書店に配荷されている棚の様子を見て、著者たちは自分で売れ方を判断するしかなかった。

 実際に、『世界のフラワービジネス』が出版された後すぐに、日本橋丸善や紀伊国屋書店(新宿本店)、お茶の水の三省堂書店などの店頭を巡って歩いた。足で歩いての書店巡りである。そのころから、わたしの本の問題点が明らかになった。書店を巡っていて、どの部門(カテゴリー)の棚に本が陳列されているのかが明確でなかったからだ。

 処女作の場合は、著者の自分としては、ビジネス本として「グローバルな花産業への新規企業の参入事例」を扱ったものだった。しかし、書店の店員さんは、本のタイトルから、「フラワー(花)の本」だと理解したようだった。フラワーアレンジメントや趣味の園芸に近い書物だと考えたようで、ビジネス書の棚にわたしの本が置かれることは稀だった。むしろ、趣味のコーナーや園芸コーナーに書籍が配本されていた。

 

 今度の本『わんすけ先生、消防団員になる。』(小学館スクウェア)も、どの棚に陳列されるかが不確かだった。32年前の本と同じ課題に直面すること請け合いだった。東京駅丸の内北口にある丸善書店(オアゾ)では「日本文学」、紀伊国屋書店本店では「人生論」、三省堂書店有楽町店では「エッセイ」に分類されていた。

 配本については、どこの本屋の店舗に何冊ほど配荷されるのか、ほぼわかっていた。だから、32年後の本屋巡りは、わりに簡単だった。小学館から提供されていた「(配本先の)エクセルファイル」以外にも、ネットで検索すると、大手チェーンの店舗ごとに配本冊数までわかるような仕組みができている。

 また、アマゾンや楽天ネットストアでは、ネット書店ごとに在庫数が表示されている。その数値の動きを見ているだけで、注文の入り方がいまはだいたいわかる。今回は、アマゾンの在庫数が頻繁に変動していたので、事前に思っていたより販売は好調そう見えた。

 

 さて、今度の本がもっとも売れている店舗は、生まれ故郷(秋田県能代市)で一番大きな書店の「一長堂」だった。妹の同級生で能代図書館に勤務している小野さんが、地元新聞『北羽新報』に掲載されている販売ランキングを、コピーしてLINEから送ってくださっていた。

 北羽新報には、毎月の月末に、一面でコラムを連載してきた。すでに80回以上の連載実績になっている。コラムでも、本のことを書いて宣伝しておいたことが功を奏したようだった。新聞社の編集部が、8年間のわたしの努力(連載コラム)を評価してくれたようだった。本が発売になった数日前に、新本の内容を5段抜きで紹介してくれた。

 その結果を紹介してみたい。ホットな情報である。発売日は、10月12日。書店への配本は、10月6日である。

 その後は、能代市では、二週連続で売れ行きが2位にランクインしていた。ありがたいことだ。

 

「一長堂書店」の今週のベストセラー(10月20日)

1位 続 窓際のトットちゃん 黒柳徹子(講談社)  

2位 わんすけ先生、消防団員になる。 小石川一輔(小学館スクウェア)

3位 あなたが誰からを殺した 東野圭吾(講談社)

4位 老いの地平線 91歳 自信をもってボケます 樋口恵子(主婦の友社)

5位 カモナマイハウス 重松清(中央公論新社)

 

 その二週間後、、、、

「一長堂書店」の今週のベストセラー(11月3日)

1位 なれのはて 加藤シゲアキ(講談社)  

2位 わんすけ先生、消防団員になる。 小石川一輔(小学館スクウェア)

3位 777 トリプルセブン 伊坂幸太郎(KADOKAWA)

4位 マリスアングル 誉田哲也(光文社)

5位 椿/恋文 小川糸(幻冬舎)

 

 ランキングの上位5点は、小石川先生の本を除いて、すべて入れ替わっていた。

 著者としては、まさかの結果である。古くからの地元の友人や親戚、書店関係者や皆さんのご支援のおかげです。ありがとうございます。