【フィールドワーク報告】「青山フラワーマーケット西武池袋店」の店頭観察

 昨日の午後、jfmaのフラワービジネス講座で、対面の講座を実施しました。担当講師は小川先生でした。この回は、「花店の店頭観察」(フィールドワーク)がテーマです。午後13時15分に、JFMAの麹町事務所に集合。会議室で、店舗観察のやり方を説明。集合したのは、受講生の5人と事務局の3人。その後に、それぞれの役割分担(観察のポイント)を決めました。

 

 ビジネス講座で店舗観察する場所を、ここ数年は、池袋西武の青山フラワーマーケットにお願いしています。観察時間が短く済むためには、ある程度の売上規模の店舗が必要になります。青山フラワーマーケットの店、とくに池袋の店舗は、この基準に合致しています。

 8人の役割分担は以下のようになります。店前の通行量をカウントする係が3人、立ち止まり人数をカウントする係が一人。売り上げを記録する人がひとり(客単価と商品の内容)。あと二人は、店頭に陳列されている花束(単品と鉢物、雑貨類は除外)の価格と陳列量を表にします。全体の指揮は、松島事務局長が務めました。

 青山フラワーマーケットの店頭陳列は、いつものことですが、とても洗練されています。ただし、仕入れ値や諸経費が上がっていることもあり、お花の値段はずいぶん値上がりしていました。池袋の駅構内は、トワローズ(3店舗)、青山フラワーマーケット(5店舗)、日比谷花壇、ボンマルシェなど花店がたくさんあります。

 池袋は来街者が多いので、売り上げも大きいのですが、このエリアは激戦区でもあります。タイプの違う店や同じチェーンでも品揃えや陳列がちがいます。その意味では、講座に参加する生徒さんが店舗観察するには、もってこいの場所です。

 

 さて、事務局3人(小川先生含む)とビジネス講座の受講生5人が手分けをして、14時20分〜35分までの15分間、つぎの指標を目視で測定しました。わたしも、スマホのソフトをダウンロードして、通行量の測定に参加しました。①店前の通行量、②立ち寄った(花に注目した)人数、③買い上げ人数。この計測データから、④入店率(2.0%)、⑤買い上げ率(25%)、⑥客単価(約2千円)を計算します。

 5人の生徒さんへの課題は、店舗の推定日販を推測することでした。5人の日販推定値は、35万円〜50万円にばらけました。15分間での買い上げ人数は4人でした。池袋西武の営業時間は、午前10時から夜21時までの11時間です。この時間帯(午後14時~15時台)は、比較的お客さんが少ない時間です。

 花店の売り上げのピークは、一日で2回あります。お昼ごろと夕方の帰宅時間帯です。朝の時間帯に、ピークがあるお店もあります。このお店は、池袋のど真ん中の駅中ですので、平日より土日の売上が大きい店になります。週末は平日に比べて、2割から3割増しです。また、売上が平常日の数倍に跳ね上がる物日(母の日やクリスマス、年末年始など)が年間60日ほどあります。

 

 ここで、クイズです。このお店の年商は、いくらくらいになるでしょうか?

 読者の皆さんも、年間の売り上げを推測してみてください。青山フラワーマーケットで3番目に売り上げが多いお店だそうです。ヒントです。この店は、元旦を除いてほぼ年中無休とのことでした。さきほどの平日、土日のちがい、物日の売上比率の増加を参考にしてみてください。

 

 説明を忘れていましたが、店頭の花束をカウントする係も二人いました。この仕事を分担した係のふたりは、花束の種類は無視して、価格別に陳列量(束数)を数えます。価格の種類(幅全体)を「プライスライン」、最多陳列量の価格を「プライスポイント」と呼びます。プライスポイントは、店が一番売りたいと思っている価格のことです。

 この日の観察では、プライスポイントは2つで、2200円(陳列量13束)と1320円(同12束)でした。価格を横軸に、陳列ボリュームを縦軸にとると、グラフのピークがふた山になります(「商品構成グラフ」と呼びます)。この価格(プライスポイント)が、青山フラワーマーケット西武池袋店の価格イメージを決めます。ふた山の中間がほぼ平均客単価になります。

 商品構成グラフからは、商品在庫量が推測できます(雑貨や植物、単品を除外しているので、その割合を計算する必要がありますが)。商品回転日数がわかれば(青山フラワーマーケットは、1日~2日)、この方法でも推定の日販が推測できます。

 

 以上、店頭観察2023年のご報告でした。この方法は、花店に限らず、その他の業態の店舗にも適用できます。