【柴又日誌】#129:(純血種の)団十郎朝顔の花が咲かない。

 5月の連休にタネを蒔いてから、すでに80日は経過している。寄居町の木村君の団十郎朝顔は、順調に開花を始めている。何日かおきに、グループLINE「鮎 京亭」に、柿茶色の大輪が投稿されている。しかし、わが家の団十郎は、例によって蔓さえ伸びていない。通常の青色の品種(交雑種)は、ネットに絡みついた蔓の先の蕾から、青色の花をどんどん咲かせている。

 

 玄関ポーチには、2種類の朝顔が別々のプランターに植えられている。木村君が種採りをしてくれた寄居産の「純系の団十郎朝顔」が、右側のプランターに植わっている(はずだ)。左側のプランターには、わたしが前年に種採りをした交雑種(雑種第二代)の苗が植えてある(そのつもりだった)。

 ところが、左側のプランターの朝顔は、どう見てもオリジナルの濃い青色ばかりに見える。雑種第二代なのだから、メンデルの法則によれば、前年に咲いた薄紫色の朝顔(混血種)が登場しても不思議ではない。しかし、薄紫色の朝顔は、ネットのどこからも這い上がってきていない。

 さらに言えば、今年蒔いた雑種の苗の一部(4分の一)は、団十郎に先祖返りしてもおかしくはないはずだ。一方で、不思議なことが起こっている。右側の「団十郎プランター」では、純系の団十郎(葉っぱの色と形で識別できる!)がネットに絡まって伸びているのがわかる。しかしながら、葉っぱの色・形が純系でない青色の朝顔に見える。

 

 わたしの視覚が混乱しているのかもしれない。あるいは、種蒔きの際に、わたしが純系種(団十郎)と交雑種(青系×団十郎)の種子を混ぜてしまった可能性も排除できない。言われてみれば、神戸の孫(紗楽と諒)と高砂の孫(穂高と夏穂)に、種蒔きと最初の水やりを任せてしまったからだ。

 もしかすると、あの時点で、純系と交雑種がミックスしてしまったのかもしれない。結果はこれからなのだが、純粋な団十郎だと思っている右側のプランターの苗が、柿茶色の花(団十郎)を咲かせるかどうかにかかってくる。全部の苗が「柿茶色の花」(純系の団十郎)を咲かせることにでもなれば、わたしの苗の処理は間違いがなかったことになる。

 仮説が正しければ、左側のプランターからは、いくつかは先祖返りと純系の団十郎の花が咲くはずである。そうなれば、ツマグロヒョウモンに続いて、穂高くんの朝顔観察日記には、メンデルの法則による純系種と交雑種の比率が登場することになるだろう。

 

 しかし、この仮説が正しいとしても、団十郎朝顔と青色朝顔の花が咲くタイミングにずれがあることがわかっている。つまり、青系が咲いてから1か月ほど遅れて、団十郎は花を咲かせることが、昨年と一昨年の観察データからわかっている。

 開花のタイミングの微妙なズレが、純系の団十郎と交雑種の、さらなる交雑種(遺伝種子)のでき方に影響が出るはずである。昨年は両方の朝顔がどのように交雑したのかが、わからなくなっている。わたし自身の頭が、玄関のプランターを見て混乱している。仮説を複数用意するべきなのだが、その構築のやり方がよくわからなくなっている。

 こんなことは、生まれて初めて体験である。右側のプランターの苗から早く、純系の団十郎朝顔の花が開いてほしい。そこから、仮説を作り直そうかと思っている。純系と交雑種とオリジナルの青色の比率のことだ。