新潟県上越市にある「高田世界館」で、坂本龍一主演の「戦場のメリークリスマス」を観た。世界館は、1916年(大正5年)に常設映画館として開館した、現存する日本最古の映画館だ。館内の画像は昨夜、椅子の配置や天井の飾りなどの様子をインスタにアップしてある。構造物としてのデザインは素晴らしく、国の有形文化財にも指定されている。
欲を言えば、椅子の座り心地がもう少しなんとかならないかなどの不満はあるが、内部は実に見事なDecor(装飾)である。
一年前に、高田城マラソン(10KM)を走るため、北陸新幹線で上越市高田をはじめて訪問した。本当の目的は、マラソンを走ることではなく、故郷に戻った友人の村田さんに会うためだった。
村田さんには、約20年間、JFMAの会計監査をお願いしていた。高田馬場で村田事務所を経営していたが、76歳で事務所を後進に譲って、生まれ故郷の高田に戻って隠居暮らしをしている。夜の宴席前に時間があったので、村田さんに市内を案内していただいた。そこで遭遇したのが、「高田世界館」だった。
残念ながら、朝早い時間の新幹線の切符を購入していたので、月曜日(翌日)に映画を見る時間がとれなかった。というわけで、今回は、上野駅午前発の新幹線はくたか号の座席シートを予約して、駅前のアートホテルに荷物を預け、世界館に直行した。運がよいことに、到着の30分後に入れ替えになることがわかった。
13時45分から、3月に亡くなったばかりの坂本龍一主演(+音楽)の『戦場のメリークリスマス』が上映されることになっていた。タイミング良しである。上映時間は、2時間強。満席というわけでもないが、観光でこの街を訪れたらしい若い子たちのグループで、そこそこ席は埋まっていた(ちなみに、映画館は、座席が2割ほど埋まれば元が取れる経営構造になっている)。
さて、わたしは正直な評者である。坂本主演の映画を見終わった感想を、率直に述べてしまう。評価スコアは、★3である。良くも悪くもない。『戦場のメリークリスマス』は、30年前に日本とニュージーランドの国際合作映画として制作された作品である。興行成績が10億円を超えている。とりわけ坂本龍一の音楽と映像の評価が高い(知人たちからの伝聞)。しかし、自分の感覚は、”残念なフィルム”である。
たまたま、鑑賞したことがない方のために、「あらすじ」を探してみた。そのとき、わたしの感覚に近い評価に出会った。わたしの感覚に非常に近かったので、紹介してみる。
<日本語が全く聞き取れない…演技を酷評「聞き取れなさすぎて笑ってしまう」「日本語に日本語字幕付けて欲しい」>
3月28日に音楽家の坂本龍一さんが死去した。世界で最も有名な日本人アーティストの1人が逝去し、日本中が悲しみに暮れている。そんな中、坂本さんが出演し、音楽も手掛けた映画『戦場のメリークリスマス』がネット上で話題に。その内容に、さまざまな声が寄せられている。
芸能記者は「『戦場のメリークリスマス』が意味不明と言われているのは、もちろんストーリーのせいではありますが、シンプルに、イギリス人俳優のトム・コンティの日本語が全く聞き取れないことも大きい。彼は画面に出ずっぱりなのですが、日本語でしゃべるシーンは何をしゃべっているのか、日本人でも聞き取れない。
英語で話すシーンには字幕がつくのでわかりますが、日本語は本当に意味不明。というのも、トムは日本語で演技するにあたって、日本語の台詞を〝音〟として聞いて、それを再現して発音していただけだから。
ほかにも、ビートたけしと坂本さんの日本語発声もかなり怪しい。たけしが、自分自身で自分の演技や、坂本さんの演技を酷評するほどでしたからね。海外の人は、棒読み具合や、発音のヒドさがわからないので、違和感なく鑑賞できるのかも」と話している。
以上である。
つまり、セリフがほとんど聞き取れなかった。演技は?だったが、坂本龍一の役者としての美しさ(ヴィジュアル)は最高だった。ビートたけしの演技は、あんなものだろう。わたしは、ふだんから彼の話しことば(セリフ)がよく聞き取れない(笑)。なので、特別にこの作中で彼がひどい演技をしているとは思わない。
映画が始まったある時点から、映画に没入する気持ちの緊張の糸が切れてしまった。最初は、おかしな日本語と英語のちゃんぽんにやられて、わたしの耳がおかしいのかと思った。そうではないようだった。先ほど、上記の評価「聞き取れない」「日本語字幕を付けてほしい」の見て安心した。
ストーリーも、かなりひどいと感じた(単に大島渚監督とわたしのテイストが合わないだけかもしれない)。少なくともわたしには、伝えたいメッセージが意味不明だった。物語の展開も、脚本もなんとかしてほしかった。
映画館の空間に座った時間は、すばらしかった。しかし、『戦場のメリークリスマス』でなく、日本最古の映画館では、別の作品を見るチャンスが与えられたら、もっと良かったのではないかと思う。制作側の不都合を割り引いていえば、映像の画面がリメイク(再生復刻)してあったことも、わたしの目には印象が悪かったのかもしれない。
<あらすじ:戦場のメリークリスマス>
参考まで:解説『戦場のメリークリスマス』あらすじ|名セリフに込められた思いとは? | 動画配信サービス情報ならエンタミート (dream.jp)