【調査結果】「おにぎり温めますか?」(小川の友人調査とマクロミルの自主調査)

 そもそもの発端は、かみさんとの会話だった。昨日、ローソンの本社(@品川区大崎)で、DX・発注システム担当の執行役員へのインタビューがあった。その際、北国の北海道と福島県+南国の沖縄県では、コンビニの店員さんから、「おにぎり温めますか?」と尋ねられることが話題になった。そのことをこれまで聞いたことがなかった。

 

 わが家はテレビをほとんどつけない。だから、タレントの大泉洋が出演しているバラエティ番組(北海道でオンエア)のタイトルが、「おにぎり温めますか」ということを知らなかった。メジャーなテレビ番組らしい。その影響で、「おにぎりを温めて食べる」というコンセプトが知られるようになったようだった。

 帰宅後に、かみさんにその話をしたところ、当然のことのように、「おにぎりはいつも温めてから食べていますよ」との返事が戻ってきた。「えっ?」と、わたしはとても驚いた。40年以上一緒に過ごしてきたのに、かみさんがおにぎりをレンジで温めていることを、昨日の夕方まで知らなかったからだ。

 それとは逆に、わたしが(おにぎりを)温めることがないことを知って、かみさんは衝撃を受けていた。夫婦とはそんなものかもしれない。というわけで、友人・知人に向けて、「おにぎり温めますか?」の調査を実施してみることにした。

 昨日の夕方から夜中にかけて、つぎのようなアンケートをLINEで100人近くに送付した。日付が変わらない時刻に、すでに50人を超える友人・知人たちから返信があった。

 

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こんばんは。××さん。

おにぎりのリサーチへ、ご協力のお願いです。

 

Q1.コンビニでおにぎりを買うことがありますか?

① 頻繁に、②ときどき、③滅多に買わない、④買うことはない

Q2.その時,カウンターのレンジでおにぎりを温めてもらいますか?

①はい、②時々はある、③いいえ

Q3.ご自宅でおにぎりを食べる時に温めますか?

①頻繁に、②ときどき、③温めることはない

 

ご協力ありがとうございます。

最後に、お住まいを都道府県で、(       )

 

調査の発端は、昨日のローソンでのインタビューで、冷凍弁当とおにぎりのことを取材したからでした。調査の背景や結果、必ずフィードバックさせていただきます。

 

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 先ほど、最終的に回答をもらった84人分を集計してみた。( )内は、選択比率である。

Q1.コンビニでおにぎりを買うことがありますか?

 ① 頻繁に(13%)、②ときどき(48%)、③滅多に買わない(36%)、④買うことはない(4%)

Q2.その時,カウンターのレンジでおにぎりを温めてもらいますか?

 ① はい(1%)、②時々はある(11%)、③いいえ(88%)

Q3.ご自宅でおにぎりを食べる時に温めますか?

 ① 頻繁に(5%)、②ときどき(23%)、③温めることはない(72%)

 

 <考察1>

 わたしのQ1の回答は、②である。コンビニでおにぎりを買うことがときどきある。一般的には、わが調査では6:4の比率だった。そこそこの数の人が、コンビニでおにぎりが購入しているらしい。6~7割は、ほぼ予想通りだった。ヘビーユーザーは、思いのほか少なかった。

 

 <考察2>

 わたしの回答は、③である。冷凍のおにぎりを除くと、常温のものはこれまで温めて食べた記憶がない。調査対象者では、どきどきを入れると、おにぎりを温めてもらう派は、全体で12%ほどいることが分かった。8人に一人の割合である。

 ところで、マクロミルの自主調査(2020年1月10日~22日、N=2350)で「おにぎり温めますか」が実施されていた。調査会社インテージの田原さん(調査対象者のひとり、北海道出身)から教えてもらった。自主調査では、「コンビニの店員さんに『おにぎり温めますか』と聞かれますか?」という質問形式になっていた。実際におにぎりを温めてもらうひとは、その半分以下にはなるのだろう。その場で食べることでもなければ、おにぎりを温めてもらわないだろうから。

 ローソンで話題になった3県(北海道、福島、沖縄)では、ほとんどのお店で「おにぎり温めますか?」と尋ねられるらしい。理由は、大泉効果だけでもなさそうだ。「必ず聞かれる」と「たまに聞かれる」の合計では、北海道(90%)より福島(96%)の割合が大きく出ている。「必ず聞かれる」では、沖縄(74%)が全国トップだった。

 

 <考察3>

 自主調査で、おにぎりを温めて食べる頻度が高い地域は、北海道(67%)、東北地方(55%)、九州地方(46%)だった。全国集計では、「必ず温める」が5%、「たまに/具材によって」が36%である。温めない人が59%だった。4:6で、やはり温める派は、マイナーではある。

 わたしの調査では、温めて食べる派は28%だった。およそ、3:7で「温めないで食べる」が多数派を占めている。結果的に10%ほどの差が出ているのは、小川の調査票では、必ずしもコンビニのおにぎりを想定していないからだろう。自宅での調理などもその中に含まれている可能性がある。

 

 <まとめ>

 調査に協力してくださった友人・知人たちの反応から、いくつか紹介してみたい。

 

① 自主調査を紹介してくれた田原さんからは、「北海道だと60%が必ず聞かれるらしいけど、本当かな?」と札幌から東京へ移住した人の印象が述べられていた。本人からは、「沖縄は(寒くはないから)スパムおにぎりですかね」との推論と、「札幌のセイコマートだと、ホットスナックコーナーに暖かいおにぎりがあります」という現地事情の説明があった。 

② 福島県からは2サンプルが戻ってきた。どちらもおにぎりを温めていなかった。「福島県は3つの地域(内陸、中通り、海沿い)があるので、地域でちがいがあるようです」(2つのサンプルは内陸)。

③ 青森県在住の元院生(みちのく銀行)からは、「先生のおっしゃる通りですね。おにぎりではないですが、わが家では炊き立てのご飯が残ったら、すぐに冷凍します。レンジで温めたご飯は美味しいですね」。常温でおにぎりを温めないが、冷凍保存したご飯は、解凍して温めて食べている。

 

④ ある年齢以上の方では、ある種の代表的な意見があるように思う。「おにぎりは大好きです。食べたいときは、妻からにぎってもらいます」(某ホームセンターの監査役)。おにぎり事情から、家庭の風景が眺められる。わたしが実施した調査の対象者は、コンビニのおにぎり購入者が世間一般より少なめのようだった。家庭で料理をする層が多いからだろう。

⑤ 「私も今まで、(おにぎりを)温めたことがなかったので、設問を見て「温める人」が居ることを知りました」という驚きの回答が、静岡県の女性経営者から戻ってきた。調査対象者の6割は、そもそも「おにぎりを温めて食べる習慣」を知らなかった。

⑥ このあたりが逆に、「冷凍おにぎり」などに市場機会があることを感じさせる。おにぎりを温めることは、単なる習慣と知識の問題である。わたしは、冷凍のご飯を解凍して食べると、いまや白米がとても美味しくなることを知っている。品種改良でお米が美味しくなったことと、冷凍技術が発達したからである。

 

 <わたしからの提言>

 フードロス削減を実現するためのひとつの有力な方法は、生活の中にもっと冷凍(食品)を取り入れることだと考える。わが家では、青森の銀行員さんのキッチンのように、多めに炊いたご飯はすぐに冷凍庫に保管してしまう。

 それと同様に、コンビニや外食で廃棄まじかの弁当や総菜は、店内で急速冷凍して、たとえば「フードバンク」などに寄付してみてはどうだろうか?かつて(2018年前後)、ローソンさんが「アナザーチョイス」という寄付プログラム(+食品廃棄ロスの低減)を実験したことがある。沖縄と四国で実験に参加したコンビ二の店主さんを、現地でインタビューしたことがある。

 

 店頭での実験期間で、フードロスになりそうな廃棄まじかの食品を購入してくれた消費者には、ポイント還元することにしていた。ポイントの一部を、子ども食堂の運営に寄付するという試みだった。社会的にも意味のあるプログラムだったが、直後にコロナが広まり、いまも中断したままになっている。 

 今後、当時のプログラムを復活するとしたらの話である。例えば、店頭にある賞味期限まじかのおにぎりや弁当類を、急速冷凍してみてはどうだろうか?ポイント還元ではなく、冷凍したおにぎりやお弁当を、フードバンク経由で食事に困っている人たちに届ける仕組みを作るのである。

 

 一説によると、シングルマザー世帯などを中心に、全家庭の約15%(7人に一人の子供)が食べることに窮している状態になる。社会問題にもなっている。子供たちの危機を救いつつ、同時に廃棄される食品の無駄をなくす努力は意味のあることだと思う。そのために、冷凍技術の活用とフードロス削減のためにインセンティブ付与を同時に提供できる仕組みを構築することが必要になるだろう。

 おにぎりを温める習慣を定着させた先に、冷凍おにぎりを解凍してその場で食べられるようにする。冷凍・解凍の食習慣をふつうに思える社会規範を普及させていく。それに寄付プログラムを組み合わせることができれば、おのずとフードロスも削減できるだろう。その結果は、加盟店オーナーたちの経営の安定にもつながるはずである。