【柴又日誌】#102:かつしか文学賞、応募作品のタイトルと目次

 第5回かつしか文学賞の受賞作品の発表が、3月8日に迫っている。どきどきしながら発表を待っている。作品を提出した作家志望の方は、わたしと同じ気持ちでいることだろう。前回(2019年)の募集には、約200編の作品が応募していた。受賞作は4篇(最優秀賞1篇、優秀賞3篇)だから、競争倍率は50倍だ。

 

 かつしか文学賞の事務局からは、応募作品の提出から一か月後に、アンケート調査票がメールで送られてきた。

 「次回も応募しますか?」という簡単なアンケートだった。もちろん「次回も応募します」にチェックを入れておいた。年齢的に第6回に応募することはないだろうが、3年ごとに実施されてきた文学賞の企画が無くなっては困ると思ったからだ。だから、「はい」と答えておいた。

 

 わたしの知り合いで、第4回のかつしか文学賞に応募した人がふたりいる。どちらも葛飾区在住の方である。

 ひとりは、現役のお寺のお坊さん。もうひとりは、おもちゃメーカーの社員の方である。最優秀作品には選ばれなかったものの、和尚さんの方は、優秀賞を受賞している。3人のうちのひとりである。偶然に知ったのだが、この方は、お寺に写経に通っていたかみさんの知り合いだった。

 しかも、先日(先週)、高砂駅前の寿司ダイニングすすむさんで飲んでいたら、カウンターで一緒の方が和尚さんのことを知っていた。世間は狭いものだ。和尚さんはKさんという名前である。この坊さんが小説を書いていることは、葛飾区では有名らしい。ということは、最優秀賞でなくとも、優秀賞が獲得できれば、葛飾区内では知名度が高まるということである。

 

 すすむさんは、わたしの作品が文学賞を受賞することを大いに期待している。その願望の度合いは、わたしと同じくらいである。というのは、応募作品のタイトルが、『わんすけ先生、消防団員になる。』だからである。

 しかも、すすむさん(本名は、金井進一さん)は、ご本人が応募作品の準主役である。それだけでない。金井さんは葛飾区で消防団員を増やしたいという使命感を持って、わたしより半年前に本田消防団に入団している。全国的に消防団員が不足しているという現実を、すすむさんは区民の皆さんに知ってもらいたいと思っている。

 消防団員が不足すると、消火活動や水害対応、大地震時の救急救命活動に支障が出る。そのため、現状では7割程度の団員充足率を、90%~100%にしたいと思って、リクルート活動に邁進している。わたしの入団も、すすむさんの積極的な募集活動の産物である。

 

 わたしが文学賞で優秀賞を受賞することができれば、広報誌に取り上げてもらえるので、区内で消防団の認知度が向上するとすすむさんは考えている。たしかに同意だが、すすむさんの楽観とはちがって、わたしが受賞しても団員が簡単に増えるとは思えはしない。

 現状の待遇や出動の負担を考えると、リクルートは大変だろうと思う。わたしは、昨年11月から正式に本田署の団員になった。わたしのごく短い経験でも、ほぼ毎月のように、何らかの活動に参加している。ダジャレになってしまうが、「消防団の活動は、勤め人には務まらない仕事」である。

 すすむさんのように、お寿司屋さんや瀬戸物屋さん、タバコ屋さんなど、自営業の方が多い。わたしのような元教員は、実際的には自営業のようなものである。集合がイレギュラーである上に、土日や夜間の集合が多くなるからだ。

 

 本題から逸れてしまった。わたしの応募作品を紹介するつもりで、本日のブログを書いている。最後に、タイトルともくじを紹介したい(全文はNGなので、全7章と節タイトルの一部)。消防団の話は、全編を通して3度、本作品の舞台に登場する。オープニング、第3章第1節、第7章第3節である。

 

 かつしか文学賞、応募作品

 『わんすけ先生、消防団員になる。』

 文・小石川一輔

 

 もくじ

 オープニング(幕開け)

 第1章 下町生活に馴染む
  1 亀有警察署から”両さん”が巡回訪問に来る
  2 柴又帝釈天、草団子の大和屋
  3 ベーカーさんのパーシモン(渋柿)
  4 庭師の雄太郎さん、自信満々に「すてきな庭ができますよ」
  5 水元公園、下町に残された緑豊かな自然

 

 第2章 鉄ちゃん家族とマーニーさん
 第3章 ご近所さんの店じまい
 第4章 東京下町を歩く、走る
 第5章 下町情緒:江戸から明治・大正の風物詩
 第6章 遠い時間、子供たちの未来

 

 第7章 この街と暮らす
  1 通勤道、ランニングコース、サイクリング・ロード
  2 天使の分け前
  3 炭火焼トップ:旦那は骨を折った。わたしは心が折れた。
  4 われら葛飾本田消防団