平石郁生さんと対談の打ち合わせ:「最前線2022、変化する未来型小売業の形は?」(5月19日)

 平石郁生さん(インファーム・ジャパン代表、元法政大学客員教授)との対談にあたって、事前の打ち合わせを行いました。平石さんの「LED・水耕栽培ビジネス」は、本部がアムステルダムにあります。日本事業のスタートは2020年2月。3人の共同創業者たち(イスラエル国籍)が前年に来日。都市型垂直農法(Indoor Urban Farming)の事業がはじまりました。

 

 対談の時間は40分しかありません。昨日の打ち合わせで、だいたいのシナリオができました。ただし、中盤の内容部分について、明後日(5月7日)の午前中、再度詳細を詰めることになりました。わたしたちのために、対談用のメモを残しておきたいと思います。わたしの勘違いもあるかもしれません。平石さん、お許しを。

 

1 インファーム(都市型垂直農法)の位置づけ(小川の紹介)

 ・植物工場(一般には、Vertical Farmingと呼ばれている)の発展段階

  ①植物工場1.0:1980年ごろ、研究開発段階で採算性は度外視

  ②植物工場2.0:2000年ごろ、LEDのコスト低下、温室栽培の生産性が高まる

        しかし、参入したスタートアップの8割は、赤字体質から脱却できず。

  ③植物工場3.0:2015年ごろから。

   インファーム(2013にベルリンで創業、現在はオランダ本社)

   欧州から米国西海岸へ、、、大規模投資の対象となる4社が中心となる

   BIG4(Infarm、Plenty、Bowery、AEROFARMS)

 

2 最初のコンタクトと事業の革新性(平石さん)

 ・2015年 サンブリッジのピッチコンテスト優勝者

      =Infarmが年間チャンピオンに

 ・2018年 日本参入の準備開始(J東日本、ムロオ、創業者エレズ)

 ・2021年1月 日本ビジネス始動(コロナ禍でローンチが延期)

 ・Infarmの革新性

  ①都市型垂直農法(多段式栽培) VS 郊外型大規模栽培施設

  ②SDGsとの関連(省エネ、水耕栽培、無農薬、データ解析システム) 

  ③ハブシステム(室内栽培ユニットとハブの組み合わせ)

 

3 日本と海外のVFの違い(農業が置かれている環境の違い)
 ・ドイツのような寒い国では、野菜を輸入に頼る必要がある(空輸されている野菜が多い)。

   大量のエネルギーを消費し、大量のCO2を排出する(輸送過程で鮮度も失われる)。
   それに対して、日本では、都市近郊(埼玉、千葉、神奈川、茨城)で野菜を栽培している。
 ・日本でVF(LED/水耕栽培)で生産されている野菜の内、7割はレタス。

   現在の栽培技術で作りやすく、かつ安定した需要がある。効率を考えると誰でも答えは同じ。
   それ対して、Infarm を含む海外のVFプレイヤーが目指すのは、多品種 x 大量生産。
 ・欧米のVFプレイヤーは、これからの農業は「テクノロジー産業」になると考えている。

   自国市場だけをターゲットではない。5〜10年後に、間違いなく世界的に大きな産業になる。

   したがって、グローバルに事業展開が可能なAgriTech スタートアップに投資が集まる構造になっている。
   一方、日本では、VF=農業の延長線上。テック志向の起業家や人材の参入がまだ少ない。

   IT業界は人材の層が厚くなってきているが、AgriTech 分野の人材は極めて限られている。
 ・欧州では、SDGsに対する意識が高く、野菜を輸入(エネルギー消費&CO2排出)せざるを得ない構造がある。

   サステナビリティに対する意識関心が高いことも、Infarm のようなプレイヤーが急成長する要因。

 

4 日本での事業展開(平石さん)

 ・この詳細は、セミナーで発表

 ・事業展開の内容(JR東日本、紀ノ国屋、サミット、その他)

 ・野菜(サラダ)のブランディングを志向する

 ・事業提携先がどうなるかによる

 ・規模の経済性の達成(方法論)

 ・都市型室内農業による新しい食文化の提供

   鍵となるのは、経営理念とブランディング

 

5 小川からの質問   

 ・日本では、どんな野菜(種苗)を提供するのか?

 ・日本の旬をどのように演出していくのか?

 ・栽培・物流・販売の効率は達成できるのか?