「2004年の大予言」から、2017年の今を読み解く

 トランプ現象も中国の台頭も、英国のEU離脱も15年前から予兆はあった。2004年に経営学部「マーケティング論」の最終講義で配布した講義レジュメを見ている。いま振り返ってみると、世界でいま起こっていることは、当時のトレンド予測で透視できたことがわかる。

 

 おもえば、こんなことを13年前の学部生たちに話して、大教室の教壇を離れた。そして、13年後のいま、ほとんどが現実になっている。予言の根底にあるのは、

 ①自由貿易経済の終わり

  *物理的な距離と文化的な近さの見直し

 ②資源供給過多から希少性の時代への移行

  *当たり前のこと

 ③日本的な価値観の見直し

  *自然と健康と安全

 ④米国一極集中の時代が終わる

  *安全はタダではない、自己防衛の始まり

という当たり前のことを指摘した結果だった。

 

 これ以上のコメントは不要だろう。13年前の講義レジュメを再度掲載する。

 

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 ここに掲載したのは、去る1月14日 法政大学「835番教室」で行われた「マーケティング論」(担当:小川孔輔)の最終講義で配布された講義レジュメです。ここに公開します。

 

 最終講義「日本とマーケティングの未来」 2004/01/14

 
1 はじめに
(1)最終講義にあたって

(2)1985(1995)年の大予測

 ・当たったこと
  ベルリンの壁の崩壊
   ダイエーの経営危機
   マクドナルドの経営不振
   ユニクロの成長と復活
 ・外れたこと
  中国大分裂(3分裂)
   東京大地震

 (3)2005年の大予測

 ・米国型マーケティングの終焉
   マック、コーク、ディズニーの現代米国が倒れる

 ・消費の形は、”和”に向かう(→ 日本発のデザイン・アーティストの登場)

 ・アジア漢字文化圏の成立 ( → アジアから国境が消える)

 ・日本はアジアの観光立国になる

 ・第4次産業としての農業の復権

 ・トヨタ ソニーの日本企業は苦境に陥る

 ・ウォルマートの流通支配が終わる

 ・韓国人 中国人 日本人による連合企業の登場

 

 2 マーケティングはどこに向かうのか?

 (1)未来予測の前提
  ・発展途上を国を含んだ資源の奪い合い
  → エネルギーコストの上昇

  ・高齢化で時間は稀少ではなくなる
  → ボランティア組織(NPO)を中心とした社会に変わる

(2)大量消費・大量生産の終わり
  → ふたたび域内消費に向かう

(3)モノ商品の社会は終わらない

 ・特色のある商品供給者は生き残る(事業規模は小さい)

 ・ただし、多品種少量生産とサービスの付加の組み合わせ

 3 わたしたちの生活は?

 (1)食生活
  ・地産地消(マクドナルド化の終わり)

 (2)衣・ファッション
 ・和装ファッションの復権

 (3)住生活
  ・家族の形態が変わる
 ・家のサイズが小さくなる
 ・木の家の復活(間伐材の利用)

 (4)遊び・仕事
  ・”大企業”はザウルスに
  → 組織の形態が「緩やかな連合組織」変わる
 ・個人は知識によって組織される
  例: 大学教授の7~8割がパートターマーに