コロナが明けたようなので、2年ぶりで日本橋の穴子専門店「玉ゐ」に足を延ばしてみた。玉ゐの本店はクラシックな店舗で、昭和28年(1953年)に建てられている。元は酒屋だったらしいが、店構えは戦前からの雰囲気を醸し出している。創業は平成17年(2005年)で、ごく新しい会社である。日本橋、人形町など都内に6店舗。台北にも店を出している。台湾人もあなごを食べるらしい。
人気店なので、この店は予約が取りにくい。即日の電話予約(午後5時20分ごろ)だったが、「7時20分までならお席が取れます」との返答だった。いつも1時間半ほどの滞在なので、7時半からならば十分に時間的な余裕がある。かみさんと行くことにしていた。
わたしたちが食べるのは、いつもの「小箱コース」(一人前¥5000)。突き出し、お刺身、穴子のてんぷら、穴子重(小箱)、穴子汁、デザート(あんこ餅)で終わる。コースで食べると、注文が面倒臭くない。
アルコールは、生ビール(かみさんは、梅酒)から始まり、穴子の骨酒をいただいた。美味しかったので、注ぎ酒をしてもらった。会計は、ふたりで1万5千円。リーズナブルな値段だった。
さて、お料理の写真を撮ったので、帰り際にインスタグラムに、コース料理の写真をアップした。ついでに、昭和28年に建てられた「元祖酒屋」の店構えの写真もインスタに載せてみた。そして、長めのコメントをつけてみた。こんな風な記事である。(https://www.instagram.com/p/CWvIoCnFMUq/?utm_medium=copy_link)
日本橋のあなご専門店、玉い本店。コロナ明け、2年ぶりで小箱コースをいただきました。ほぼ満席でした。今宵は3回転?
コロナ後のせいか、接客が改善されていました。ご贔屓に助けられていることを初めて自覚したところが多かったのでは?このお店の変わりように、今宵は正直驚きました。
ちなみに、トイレの鍵が、超がつくクラシックな仕掛け。昔は、どこもこんなのでしたよね。特筆すべきは、ここの穴子は、どうやらオーガニックらしいのです。有機JASマークが看板についてます。2年前まではなかったことです。餌がオーガニックであれば、認証取得できます。鹿児島の鰻で見たことがあります。
このインスタの写真(穴子料理と「有機JAS認証マーク」の看板)とその説明記事を、20人ほどの友人に送ってみた。みなさん、わたしと同じで、有機JAS認証の穴子に驚愕していらした。それはそうだろう。どんなもんだ!わたしの新発見に、みなさんから驚きの返信をいただいた。
悦に入っていたわたしに、翌朝、一通のメールが届いた。有機JAS認証の審査官(武内智さん:ワタミファーム元社長)からである。武内さんにもメールを送り付けていたのだが、こんな返信の内容だった。
「小川先生、オーガニックの穴子とは?また、水産のオーガニック認証は始まっていません。やっと年内にオーガニック海藻の規格ができ、私が関与しているJASCERTもその認証すべく準備中です。このJASマークは玉い本店のロゴですね。先生の引っ掛け話題ですね。それにしてもJASマークが家紋とは、これは話題になりそうですね」(武内さん)
なんと、野菜や果樹、穀物とはちがって、鮮魚に関しては公式の有機JASマークは存在していなかった。鹿児島にはオーガニックの鰻があることはまちがいない(山本朝子先生からいただいたことがある)。しかし、エサが有機のうなぎは、自主認証のものだった。魚の有機JAS認証は存在していなかった。
わたしの勘違いに関しては、インスタの写真を見ていただきたい。玉ゐの家紋と、有機JASマークが酷似している。図形としてみるとほぼ識別不能である。有機JASのロゴでは、真ん中が「葉っぱのマーク」になっている。玉ゐの家紋は、たしかに十字マークに見える。とはいえ、図形的な外観はとても通っている。
という事実が判明したので、メールを送った全員に、昨夜は誤りのメールを送ることになった。玉ゐを老舗とばかり思っていたが、実際には創業20年も経ていない新興企業((株)バレンタインブルーコーポレーション)だった。その会社が運営しているのが、あなご専門店玉ゐだった。
確信犯的に有機JASマーク風の家紋を選んだとすれば、それはそれでなかなかの経営者だと思う。いつか連絡をして、佐藤裕二さんという経営者にインタビューしてみたい。たぶん、実現するのではないかと思う。