都市型HC、カインズSUMAMO@南砂町を訪問(9月23日)

昨年10月に開業した「カインズ」(本社:群馬県高崎市、土屋裕雅社長)の都市型ホームセンターを訪問した。一昨日(23日)のことである。来週、ベーシアグループがある上野本部で、マラソン仲間の土屋社長からインタビューを受ける。その準備のためである。カインズの広報部が現地での事前視察を企画してくださった。

 都市型HCは、ドイトや7&iがすでに出店を試みているが、あまり目だった成果は上げていない。30~40年ほど前、都市部(駅前)に立地していたGMS(総合スーパー)が、効率の悪さから“捨てた”アイテム(売場に置かなくなった商品カテゴリー)を、郊外のロードサイドに持っていって完成させたのが、日本型のHC業態(DIY)であった。日本型のドラッグストアも同じである。売場効率から郊外に立地した業態である。
 だから、郊外が市場として飽和したから、人口が都市部に一部分回帰してきたからといっても、効率に変化はない。重量があったりかさばる商品は、売場効率(回転率)と粗利率をコントロールできなければ、そのままでは、収益性は高まらない。HCがGMSから市場を奪ったとき、そして、郊外に出ていったときの条件はいまだに変わってはいない。したがって、HC業態を都市部に立地するときに、品揃えすべき商品や配送などの新しいサービスを付加しなければ、予定の売上は達成できない。
 カインズSUMAMO(1800坪、4FのSC内の入り口)を見た感想を、後ほど述べることにする。カインズは、SCの核テナントとして入店している。もう一つの核テナントは、イオンの食品館である。ほぼ同じくらいの売り場面積である。
目の前に新しいマンションなどが3棟もあって、目の前に5千世帯。必要な人口は充分にある。ちなみに、カインズの売場@SUNAMOは、標準店よりも1000坪ほど小さい。商品は、その分、かなり圧縮してある(という説明であった)。
以下には、要点だけ述べる。チャレンジは、以下の3点である。

1 商圏
 郊外型HCとの一番の違いは、自転車客が中心なことである。二次商圏までが2K圏内で、来店手段は、徒歩、自転車で、15分以内になる。車で来店しないので、買上点数が低い(―1アイテム)。重量があるものなどは、デリバリーサービスがないと、売れないだろう。代替交通手段が必要である。ペットなど、近くに類似店舗が無い場合は、売上は悪くない。部門ごとに、商圏がちがうのではないか?従来型の購買頻度で部門の品揃えを考える発想だと、商売が成り立たないかもしれない。

2 客層(消費者)
 年齢が若い。核家族の若いファミリーが多いように見える。生活ぶりや可処分所得は低いかもしれない。ホームセンターでの買い物体験がないのだろう。たぶん、置いてある商品の使い方がわかっていない。カインズの認知度は50%。だがら、出店の初期は、セルフサービスの店であっても、説明・説得方の店作り(POP、サインボード、看板を多用する、場合によっては、サイネージやマネキンを使用)をしないと、期待した売上は作れないように感じる。

3 競合(比較購買)
 購買、使用習慣がある商品は売れる。商品を知ってさえいれば、カインズの商品は、PBに限らず、誰が見ても安い。だから、売れるのだろう。面白いことに、近くにニトリがあるので、ニトリにおいてあるような商品は売れるらしい。これがヒントである。要するに、商品の使い方やその効用(安さも含めて)を、お客さんはまだよくわかっていないのである。したがって、プレゼンテーション次第では、売れる可能性があると思う。
 そもそも、カインズの側でも、SUMAMO出店までに、「都市生活者」の自宅での生活の様子を調べたのだろうか?商圏はリサーチしたようだが、肝心の顧客の生活を、再度、リサーチを試みてはどうだろうか?品揃えや販売方法を変更するために、必要なヒントが見えるのでは?