墨田区本所警察署(押上スカイツリー駅から徒歩7分)で昨日、普通乗用車の運転免許を更新してきた。来月23日に69歳の誕生日がやってくる。誕生日の前後1ヶ月が運転免許の更新期間である。家族からは、「もうほとんど運転もしなくなっているのだから、そろそろ免許を返納しては?」と言われている。
60を過ぎたあたりから、運動神経も鈍くなってきている。注意力が散漫になっているうえに、そもそも運動能力が落ちてきているからだろう。そして、昔のようには運転することが好きではなくなっている。
10年~20年前に、トヨタ自動車や日野自動車で商品企画やCS調査のアドバイザーをやっていた。商品としての自動車にも関心が高かった。それが、寄る年波なのか、急速に「車」という商品カテゴリーや業界の動向に興味を失ってしまっている。買いたい車もいまは全くない。
「運転免許証更新のお知らせ」のはがきが来たのが、9月12日だった。そのころから、「先生の誕生日をお祝いしたいので、日にちをください!」とガールフレンズ(集団)からお誘いの電話をいただくようになっていた。誕生日(10月23日)まで一か月を切りそうになっていたからだ。
そろそろ「出頭のタイミング」と気が付いたのが、1週間くらい前だった。免許更新の通知はがきには、都内で免許が更新できる場所のリストが掲載されている。「品川局」から送付されてきた用紙を中途からはがしてめくると、本所警察署など12か所の警察署。運転免許試験場(府中、鮫洲、江東)でも更新は可能だが、いかにも混雑していそうだ。
自宅からだと、神田の免許更新センター(大手町下車)が一番近そうだった。ところが、ネットでチェックすると、神田の免許センターは「混雑」となっていた。本所警察署に電話してみたが、こちらもなかなか電話がつながらない。しかし、12個ある警察署の中では、もっとも自宅から近いことがわかった。
最寄りの押上駅までは京成押上線で電車一本だ。執筆の仕事が一段落していたので、午後には南庭のウッドデッキの塗装作業があるが、気分転換に押上まで電車に乗ってみることにした。出がけにマスクを忘れそうになった。用心用心。
自宅のある京成高砂駅からは、急行電車でわずか10分。すみだ水族館のある押上駅周辺は、「街ラン」(下町の町走りジョギング)をよくしている。「勝手知ったる」場所だ。本所警察もわかりやすかった。
ところが、真新しい警察の建物を入って、「しまった!」と思った。神田センターと同様、混雑しているのだった。わたしが正玄関のドアを入っていくと、ロビーに20人ほどが座っている。一階の受け付けで、係のおばさんが番号札を配っている。「45番」の番号札をもらって、今度は二階に上がるのだが、昇りの階段に30人ほどの列。
「今日は立てこんでいます。昨日まではこんなには混雑してませんでした」とおばさんが申し訳なさそうに、更新に来たひとに謝っている。謝られても、どうしようもない。そろそろと二階まで階段を昇って、受付にたどり着く。更新のための書類を手書きして、再び番号札をもらう。
*中断:ここまで書いたら、スマホのLINEニュースで、「優良運転講習オンライン化へ」という記事がプッシュ通知されてきた。それはそうだろう。28分のビデオ視聴(安全講習)のために、昨日は入室まで25分間も待たされた。
関連書類を渡してから、4桁の暗証番号を二組、端末に入力する。更新料の3000円を支払って、視力検査を終えると写真撮影になる。ほんの数分で撮影は終わったが、再度、一階のロビーに降りるように指示された。更新に来た人が多すぎて、二階の講習会場には入りきらないかららしい。ふたたび、ロビーで25分待たされる羽目になった。
午後の部が始まる13時少し前に警察署に到着していた。それが、14時45分からの講習会場入りである。書類作成は1時間もかからずに完了している。LINEニュースの告知のように、来年から講習がオンラインになれば、この時点で帰宅できたことになる。ここから、わたしたちは60分弱、余計に時間を使うことになった。
来年からは、免許更新に対応している警察署でも、余分な空間が必要ではなくなる。良いことずくめだ。ただし、そうなると安全講習会のビデオ放映を担当している「交通安全委員会」の退職おじさんたちが職を失ることになるのだろうが。菅首相が主張する規制改革(=デジタル化)に踏み込むことで、行政費用が削減できるいい事例になるのだろう。
というわけで、無事に免許更新となった。真新しい免許証を受け取って電車に乗ったのが、15時30分少し前。16時からのウッドデッキのペンキ塗りが待ち受けている。
もう少し早く免許の更新が終わっていれば。夕方からのジョギングも、いつものように1時間走が確保できただろう。残念なことに、夕方はわずか30分しか走れなかった。そう考えると、行政手続きの簡素化、短縮化で、わたしたち市民の自由時間が相当増えそうだ。
いつもなんとなく考えてはいたが、世の中に無駄はずいぶんと多いのだった。