店を開けておくべきか、閉じるべきか。ホームセンターは日常生活のインフラ?

 スーパーとコンビニは、誰が考えても日常生活のインフラだろう。万全のコロナ感染対策をとりつつ、休業することなく店を開けている。それでも従業員に感染リスクはあるから、ライフやヤオコーなどは従業員に報奨金を支払っている。厳しい環境のなかで、従業員のモチベーションを維持することは結構大変だろう。

 

 判断が微妙な業態がいくつかある。代表的なのが、百貨店とホームセンターだ。デパートは、食品売り場を除いてほぼ閉店組である。ただし、食料品売り場のみ判断が分かれた。典型的な例が、三越伊勢丹と高島屋の判断の違いだ。三越は全フロアを閉じたが、高島屋はデパ地下のみ通常営業となっている。感染リスクと従業員の処遇に対して、経営者の判断が分かれた結果である。

 もうひとつは、ホームセンターである。ハンズマンやジョイフル本田はしばらく前から土日は休んでいる。ビバホームやロイヤルなどは今度の連休中(5月2日~6日)の閉店を決めた。一方で、大手のカインズなどは連休中も営業を続けている。

 「感染者を出さないように、万全の対応をとるようにします」との案内が、カインズのメルマガ会員に送られてきた。閉店・開業の判断は、経営者の考え方ひとつである。客観的な基準はない。

 

 ホームセンターの売り場は、ワンフロアである。売り場がつながっているので、デパートのように部分的に売り場を閉じることができない。したがって、全部を開けるか全部を閉めるかの選択になる。

 混雑による感染を懸念して店を閉じるか、社会のインフラなのだから営業を続けるべきと考えるかのぎりぎりの選択を選ぶかである。結局は、自店の社会的な役割を経営者がどのように考えるかにかかってくる。不要不急の存在ではなく、リスクを冒すことを避けるほうを優先する会社がある。その一方で、責任ある小売業として生活者に不便を掛けたくないと考えれば、閉店を決断できないだろう。

 もうひとつの要因は、来店客をうまくコントロールでき、三密の状態を回避できる自信を持てるかどうかだろう。現場のマネジメントに長けた中堅スタッグを抱えている企業なら、閉店の選択肢はないように思う。閉めるということは、上記の二つについて責任が取れないと経営幹部が考えているからだろう。

 

 「人命を軽視してまで店を開けなさい」と言っているわけではない。コンビニやスーパー、宅配業者などは、従業員が使命感を持って販売やお届けの任に当たっている。都心部の百貨店の食料品売り場は、基本的にはスーパーと同様なアイテムを扱っている。その役割も変わらない。

 ホームセンターに至っては、加工食品から修理用品まで幅広く品ぞろえしている。わたしが関与している切り花や花苗・野菜苗などは、巣ごもり消費でリラクゼーションをもたらす効果を発揮できる。部屋に飾るだけでなく、庭やベランダで苗や樹木を育てて、ストレスを解消するという役割もある。

 我田引水になるが、どちらかといえば、この際ないと困るアイテムに属している。そう思うので、ホームセンター各社には、連休中も営業を継続していただきたかった。東京都や政府は、規制業種(営業休止対象ビジネス)を紋切り型で考えてはいないだろうか? 

  

 このままで、外出自粛は5月いっぱいは続く気配が濃厚だ。在宅勤務でオンライン授業は快適である。通勤地獄から逃れられたのはよろしいのだが、いまやそれも日常になりかけている。そろそろちがった刺激がほしい。家飲み宅食は、ちょっと飽きてきた。

 ちがった気分の転換をしたくて、心がうずいている。しばし白日夢のような妄想が頭の中を駆け巡る。たとえば、東京駅から夜行寝台列車に乗って、日本海側のひっそりとした佇まいの温泉にたどり着く。ざぶんと湯船に飛び込んだところで、昨夜午前3時に不覚にも目が覚めてししまった。

 夢の中でわたしは首までお湯に漬かっていた。湯上りの囲炉裏のある部屋で、日本海のカニ鍋と地魚の刺盛りに舌鼓を打っていた。日本酒はどの銘柄だったのだろうか?忘れてしまった。いまの状況下では決して起こりえない、たとえようもなく贅沢な夢を見てしまったようだ。

 それが正夢になる日は、いつになったらやって来るのだろうか? ため息が出てしまう。憧れのサンライズ出雲、出発進行!