2月14日は、バレンタインデー。世界中でいちばん花が売れる日だ。ところが、日本のバレンタインはいまでも、女性がチョコレートを贈る日になっている。近頃では、男性たちのチョコ獲得率がずいぶんと落ちて、女性同士がチョコを贈りあう日、自分に贈る日になりかけている。
11年前のある日、JFMAのプロジェクトで、「花業界として新しい物日を作ってみよう」ということになった。戦後、JFTDが母の日を考案したことで、カーネーションなどの花がよく売れるようになった。「2匹目のどじょう」の候補日として選ばれたのが、ホワイトデーとバレンタインデーだった。
いまでも覚えているが、プロジェクトに参画していたメンバーの多数派は、ホワイトデーを新しい花贈りの日として推していた。最終的には、青山フラワーマーケットの井上社長の決断で、バレンタインデーを新しいキャンペーン日にすることにした。その後、JFMAのプロジェクトは、推進委員会となり、花の国日本協議会に引き継がれて今日に至っている。
毎年実施している事後調査によれば、フラワーバレンタインがきっかけで、男性が花を購入するようになっている。とりわけ20代後半から30代前半にかけての男性が、花を購入する比率が上昇している。フラワーバレンタインの活動が、新たな花の購入機会を開拓したことは間違いない。
個人的にも10年間、バレンタインの日には女性たちに花を贈り続けてきた。年によってプレゼント用の花を依頼する店は変わるが、毎年20束ほどのブーケを贈っている。予算と時間に制約があるため、花束を贈れていない女性たちに、この場を借りてお詫びをしておきたい。
バレンタイン当日の店舗の様子は、いつもMPSの松島社長ブログ(http://mpsjapan-blog.jugem.jp/)で確認している。松島さんは、今年は有楽町・銀座から二子玉川まで、全部で26軒の花屋を巡回している。
松島さんが訪問した都内の店でも年々、男性客が増えているとのこと。それよりやや早い時間帯に、花恋人の竹内さん(関東地区担当マネジャー)から新店の様子が伝わってきた。「沼津の店舗に居たのですが、19時頃から急に男性がいらっしゃいました。みなさん生花を買われて行き、中にはメッセージカードにハッピーバレンタインと書いてくださいと言う方も!」。
花恋人では成人式の日に花の売上が大きく伸びているが、竹内さんの上司にあたる野田社長によれば、バレンタインの売上も堅調とのこと。「フラワーバレンタインは毎年大きな伸びがないのですが、10年間でおよそ2倍から3倍の売上になりました。今年も前年に比べて、110%~130%です」
今年については、メディア・プロモーションで画期的なことが起こった。フラワーバレンタインのイベントは日本橋三越と渋谷ヒカリエくらいになっているが、テレビ東京のWBS(ワールド・ビジネス・サテライト)に、フラワーバレンタインが登場したことである。番組内では、青山フラワーマーケットの江原さん(ブランド・クリエーター)が都内の店舗の様子を解説してくれていた。店舗によって異なるが、バレンタインは対前年比で110%~120%で伸びているとのこと。
10年間、業界人が地道に努力してきたことが報われているようには思う。松島さんの言葉を借りれば、「フラワーバレンタインもなかなか燎原の火というようにはならないが、毎年行っている消費者調査では、30代、40代男性の花の購入率が上昇している。やったことには必ず結果がついてくる。」