ピンクのシューズ論争: 植物を扱う人は、シューズが”ピンク”に見える割合が高い?

 3年前の10月に、フェイスブックで物議をかもした「ピンクのシューズ論争」が、先週の大学院小川ゼミの飲み会で話題になった。「Colour conundrum: Is this shoe pink or teal?」(色彩論争:この靴はピンクに見えますか?グリーンに見えますか?)で知られる質問と画像を見た6人中、2人が「ピンク」と答えた。わたしを含む4人は「グレー」と回答した。

 

 物議をかもした画像の色は、ひとによって見え方がちがうことが知られている。同じ家族の中でも、ピンク派とグリーン派に分かれることもある。なので、必ずしも遺伝子が見え方を決定づけているわけでもなさそうだった。

 個人的にも興味を持ったので、知り合いのLINE仲間たちに、電車の中から画像(VANシューズ)を送ってみた。そして、オリジナルの質問と同じ、「このシューズは何色に見えますか?」との問いを投げかけてみた。

 全部で50人ほどのサンプルである。学部生のサンプルも追加でゼミ長にで調査を依頼している。厳密な集計結果は休み明けになってしまうが、なんとなくの仮説が頭の中で出来あがっている。わたしの知人・友人たちを平均すると、約2~3割が「ピンク派」で、残りの7~8割が「グリーン派」である。まれに、わたしが「カメレオン派」と呼んでいる「タイミングによって、どちらの色にも見える人」が1割ほどいることがわかっている。

 一般的に、論理的に物事を判断する左脳系のひとは、シューズがグレー(グリーン)に見える傾向がある。反対に、感覚的、直観的に物事を判断する右脳系のひとは、靴の画像がピンク(ホワイト)に見えると言われている。フェイスブックでの論争や解釈については、ネットにたくさんの意見が上がっている。そちらを参考にされたい。

 

 ところで、この質問を投げてみたところ、わたしの仲間たちの間では、かなりはっきりした傾向が見て取れることに気づいた。つまり、花屋さん(店長や従業員さん)は、明らかに「ピンク」と答える割合が高かったのである。また、種苗メーカーのサンプルでは、これまた、ピンク派がグリーン派を圧倒していた。

 たとえば、メリクロンの会社「ベルディ」(本社:愛知県豊橋市)の水谷朱美社長からの回答は、つぎのようなものだった。

 「写真 社内調査結果。12人中グレーは、私と経理の女性の2人だけ。10人はピンクでした。男性8人全員ピンク。ショックです」(水谷さん)。わたしは、水谷さんに「昨日のは、すごく偏ったサンプルです。ピンクの平均は2割から3割ですよ。なぜなのか、気になりますね」と返信しておいた。

 「はい。私も。工学部の1人を除いて全員農学系出身です。ほぼマニュアルが無く、植物の状態や温度変化を常に意識する、イコール感覚で仕事するからでしょうか?」が水谷仮説だった。

 

 そして、翌日になって、前日にニュージーランド人(植物関係者)と会食をした水谷さんからは、新しい情報が入った。

 「新回答出ました。マスタードです。78歳、ニュージーランド人、男性。元園芸用肥料販売。その人含め5人の飲み会。私以外日本人男性3人全員ピンク。65歳元農業大学校教諭、65歳園芸資材販売会社社長、多分50歳くらい農学部教授。これは何でしょう?私はマイノリティーです」。

 水谷さんの周りだけでなく、なんとなくの感覚だが、アーティスティックなセンスの高そうなひとたち(元アパレルのバイヤーや花屋の店長さん)は、シューズがピンクに見えていた。また、一般にトップ経営者(日本を代表する企業家たち)は、ほぼグレー派だった。ただし、例外があって、ネットビジネス系の企業経営者でマーケティング能力が優れている人には、ピンク派が少数だが存在している。

 具体的に名前を上げてしまうが、オイシックス・ラ・大地の高島宏平社長とクランチスタイルの武井亮介CEO。どちらも理科系の大学院出資者である。マーケティングのセンスは、感覚的な直観力と深く関わっているからだろうか。

 

 いずれにしても、ピンクのシューズ論争は、派生的な仮説をもっと生み出しそうだ。調査結果は、ここでいずれ発表することにしたい。

 なお、わが大学院ゼミ生のピンク派ふたりは、それぞれ、某アパレル小売業のブランド統括マネジャーとフランチャイズレストランチェーンのFCオーナーである。やや心配なのは、修士論文(プロジェクト報告書)を書きあげる際の論理構築力についてである。ただし、ユニークな発想など感性的な能力は申し分がない。