ネット上のコメントやサービス評価スコアは、公平だと信じることができるだろうか?

 飲食店や宿を選ぶとき、利用者のコメント欄やサービスの評価スコアを参考にすることが多い。ネットの記事なども、他人がどのように感じているのかが気になる。そこで、自由記述を読んだり、記事に対する「いいね」の数を参照してみることになる。わたし同様に、コメントや評価点を参考にしている人も多いのではないかと思う。

 

 ところが、このごろ、こうしたコメント欄の自由記述(そのリスト)と、サービス評価スコア(5点満点)がかなり怪しいのではないかと思う場面が増えてきている。必ずしも客観的なデータがあるわけではないのだが、そう思うようになった契機は、以下のふたつの経験からである。

 

 10月の第一週に、米国カリフォルニア州で現地のレストランやスーパーを取材した際、UBERを多用することになった。ご存知のように、UBERはスマホの配車アプリである。サービスはとても便利で、利用者としては配車サービスシステムに100点満点にをつけてあげたいと思った。

 ところが、ウーバーが提供するドライバーの評価スコアには、微妙に疑問を感じる点があった。サンフランシスコとロサンゼルスで、前後7回ウーバーを呼んだ。迎えに来てくれたドライバーは、あまねく素晴らしい接客と運転技術だったのだが、その評価点(5点満点)が、すべて4.7~4.9の間に入っていた。4.6点以下はひとりもいなかった。

 統計的にみて(長年、CSのデータを見てきた研究者として)、これはどう考えてもおかしいと直感したものだった。”浮世離れ”しているスコアリングである。4.8点が意味するところは、利用者が100人いるとして、5点が90人で4点が10人である。このスコア平均値にはどうしても納得ができなかった。

 なぜなら、JCSI(日本版顧客満足度調査)で、CS最上位(NO.1~NO.3)を獲得している劇団四季や宝塚歌劇団、帝国ホテルなどでも、100点満点の85点前後である。100点満点の85点を5点満点で割り戻してやると、日本でCSナンバーワンの劇団四季は、「ウーバースコア」では4.25点に相当している。劇団四季や宝塚では、来場者は超が付くロイヤル顧客で固められている。それでも、4.25点。対照的に、一般人のUberドライバーで、サービス評価が悪くて4.6点である。どうみても納得がいかないのである。

 実際に、日本で食べログやぐるなびなどの飲食業の利用スコアをみると、5点満点で最高で4.5程度である。3.5点であれば、選択肢に入れてよいという「目の子ルール」があるくらいである。「シェ松尾・松濤レストラン」(4.89、28件、食べログ)というのは、超が付く例外である。

 

 二番目は、先日の「嫌韓ブログの記事」(10月16日)で紹介した「ヤフコメ」のコメント記事についてである。反日的な韓国の態度に対して、嫌悪を表出するのは個人の勝手だとは思う。しかしながら、どのコメントを見ても嫌韓一色に染まっている。バランスを指摘する記事が全く見られない。また、「Like」(いいね)の数も偏りがある数値になっている。

 さすがに、コメントについてサイト側がコントロールしているのではないかと、わたしなどは疑ってしまう。そういえば、その逆の記事(よいしょ!記事)もこの頃なんとなく増えているように思う。つまり、サービススコアや自由コメントが、出来レースになっているのではと危惧している。

 ネットの世界で自浄作用が働かなくなると、ネット上での調査などの正当性を疑われるようになりかねない。調査を専門としている私などは、この傾向を大いに危惧する一人である。調査の純粋さに手を加えたくなる誘惑が、ネット上のスコアリング調査の客観性を疑わせてしまうリスクを高めているのではないのか?

 ここで述べた2つの事例が、実際には杞憂だとよいと思うのだが。実際にはどうなのだろうか?